巨人・坂本選手の交際費否認報道から徒然
2024/06/03 16:26:40 税務調査
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巨人の坂本選手が年間約2,000万円×5年の飲食費について税務当局から指摘があり協議中、というニュースがありました。ニュースでは「約1億円の申告漏れ」とやや悪意ある書き方をしていますが、要するに交際費が必要経費と認められなかったのだと思います。
詳しい内容はわかりませんが、年間2,000万円という額だけ見ると否認されそうな額ですが、まず「額のみをもって否認される」というのはあってはならないと思います。推定年棒6億円からみて2,000万円(売上の約3%)の交際費は多額とも言い切れないです。
結局問題はその中味であり、「事業(=プロ野球選手としての活動)に必要な接待か否か」が判断の全てだと思いますが、もし球団の重役やスポンサーを接待するための飲食費ならこれは経費と認められるでしょう。・・だぶん接待される側であり、これはない気がしますが。チームメイトや後輩を連れていった飲食費は?これも戦う余地があると思います。特定のメンバーとのみ同じクラブに頻繁に行っていたりしたら厳しいと思いますけど。
新紙幣発行でタンス預金はどうなる
2024/05/01 15:58:32 相続対策
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今年の7月3日から新札が発行されます。紙幣の刷新は約20年ぶりで、特に一万円札の刷新は約40年ぶりだそうです。刷新の主な目的は偽造防止ですが、日本ではもう一つ重要な目的があると言われており、それはタンス預金をあぶり出すことです。
日本は他の国と比較してキャッシュレスが進んでおらず、一説にはタンス預金は約50兆円程度あるそうです。このタンス預金が無申告で相続・贈与されると国は相続税・贈与税を相当取りっぱぐれるので、なんとかこのタンス預金を市中に引き出そう、としているわけです。
では新札が発行されると旧札は使えなくなるのか、と言うとそうではなく、今の福澤諭吉の一万円札は今後も使えますし、何でしたら聖徳太子の一万円札だって今も使うことができます。自動販売機とかでは使えないでしょうし、コンビニで聖徳太子の一万円札を出したら若い店員さんだったら偽札と思われるかもしれませんが、それでも少しづつ使っていく分には問題ありません。
しかし大量の旧紙幣を銀行に持っていくには問題が出てきます。もし今聖徳太子の一万円札を1,000万円分自分の口座に預け入れに行っても入金させてくれないでしょう。「自分のお金を自分の口座に預け入れできないなんておかしい!」と思われるかもしれませんが、マネーロンダリングを疑われて金融庁に通報される可能性が高いです。また国税当局に「申告されていない現金を大量に保有している」とマークされるでしょう。
ですのであまりに旧紙幣を多額に長期間所有し続けると、価値はあるものの実質どんどん使いにくいお金になって行く、と言えると思います。
「だったら福澤諭吉の一万円札は、今のうちに少しづつ預け入れしておこう」と思われるかもしれません。毎日のATM限度額が50万円だから、20日に分けたら1,000万円預け入れできるな、と・・。しかし、預貯金の動きは国税当局は、職権で取引履歴を閲覧できます。多額のお金が動くと、その出どころはどこなのか?と疑われます。
また相続税の申告をさせていただく時によく目にしますが、相続が発生する前後で毎日50万円づつATMで下ろしておく、という逆の動きをされることもあります。国税当局からするとこのような預金の動きは、相続税を逃れるための「典型的な」動きに見えます。相続が始まると口座がロックされるから先に引き出しておいた、という方がほとんどだとは思いますが、疑われる動きですのでなるべく避けましょう。
大量のタンス預金は、かえって子や孫を困らせるものになる可能性もあります。これを機に相続税対策は、長いスパンで、コツコツと、子や孫を困らせない方法を見つめ直す必要があるかもしれません!
ややこしい定額減税
2024/04/01 18:51:56 経理事務
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法人、事業者の方へ3月に「定額減税のしかた」が税務署から突如送られて来ました。これ何??と思われた方も多いと思います。一応デフレ対策として昨年11月に閣議決定はされていた定額減税ですが、なぜ給付金ではなく減税?国が減税したという実績を作りたいから?という疑問は尽きません。そしてやはり、もらうだけの給付金ではないので事務処理がややこしいです。
定額減税は対象者ひとりにつき所得税3万円、住民税1万円が控除されます。恒久的な制度ではなく一度きりです。来年に持ち越しとかもできません。年金受給者の方は年金から、確定申告をされる個人事業者の方は確定申告時に控除されます。そして給与所得者の方は令和6年6月1日以後に支給される給与から順次控除していきますので、給与を支給される法人、事業者はそれまでに事務手続きを確認して、対応する準備をしておく必要があります。給与ソフトを使って給与計算されている方は、ソフトの対応内容も合わせて確認して下さい。
気になる対象者は、①本人(R6.6.1現在勤務されている甲欄適用の方で、令和6年の合計所得金額1,805万円以下の方)、②扶養となる配偶者、③扶養親族となります(いずれも非居住者は除かれる)。例えば配偶者と2名の子どもを扶養されている方は所得税12万円、住民税4万円が減税になります。
②の配偶者ですが、合計所得金額が48万円以下の方に限られますので、配偶者特別控除の対象となる配偶者は外れます。また年末調整等では本人の所得が1,000万円超のため配偶者控除が取れない方も、この定額減税では②をカウントすることができます。このあたり年末調整上の扶養と判定が異なりますので、ややこしいです汗。
実際の給与計算では、各人の定額減税額をあらかじめ計算しておき、6月以降に支給される給与賞与の源泉所得税から定額減税額を引き算します。納付書で納める源泉所得税も、もちろん引き算した後の税額を納めます。
6月の給与から引ききれない場合は7月分、夏季賞与、8月分・・と、定額減税額を引ききれるまで引いて行きます。そのため、給与事務をされる方は現時点で誰がいくら引いているかというのを把握しておかないといけませんし、給与明細にも記載する必要があると思います。そのあたり国税庁HPでは「このエクセルファイルを使ってアナログに管理してね」と書いてあります・・。
ちなみに住民税は、あらかじめ市町村が控除した後の金額を5月頃に通知してきます。
ところで定額減税で引き切れるほど税額がない方はどうなるのよ?という疑問が当然生じますが、引ききれない部分は令和7年に給付金として支給されるそうです。それなら最初から給付金にしたらって?全くその通りだと思います!
なぜ政治資金に税金がかからない??
2024/03/02 16:01:04 経済一般
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政治資金パーティを巡る裏金問題が連日取り沙汰されています。確定申告窓口では「政治家は税金払ってないのに、なぜわしらが払わにゃあいけんのんや!」とのクレームも多いとか。なぜ政治資金には課税されないのでしょうか?
各派閥等の政治団体は法人格は有していませんが、法人税法上「人格のない社団」という区分に取り扱われ、収益事業に限り法人税が課されることになっています。法人税法上の収益事業は34事業に限定されていますので、それらの事業以外はすべて「非収益事業」とみなされて法人税は課税されないことになります。
なお政治資金パーティの利益率は9割程度と言われており、1回あたりのパーティ券収入が1,000万円あったとすると、ホテルの会場費や飲食経費を差し引いても900万円残る計算になります。政治資金パーティは収益事業に該当しない(ここがそもそも「??」)ので、この900万円が政治団体にプールされていても法人税は課税はされません。将来的に政治活動の原資として使われるからだと言う事でしょう・・。また資産の譲渡や役務の提供に該当しない(ここも「??」)ので、消費税も課税されません。
そして今問題になっているのは、各議員がノルマを超えて販売したパーティ券収入が議員個人に「キックバック」されていたことです。例えば政治資金報告書には収入300万円と記載し、残りの700万円が裏金として渡されていたことになります。通常こんなずさんな報告がされないように、登録政治資金監査人として登録された弁護士、公認会計士、税理士が監査を行うはずなのですが、まあ・・機能していないのでしょうね。ちなみに私は登録しておりません。
さらに政治団体からキックバックを受けた議員個人には、本来「雑所得」として所得税住民税が課されるのですが、そもそも政治資金報告書に記載がないのだから収入を受けた事実がわかりにくいですし、わかったとしてもその収入を政治活動経費に使っていれば雑所得の経費になり、収入の全額を経費に使えば雑所得は0円なのでそもそも申告義務もない、ということになります。政治活動経費の内容を示す領収書の保管はされているのかって?・・「秘書に聞いてくれ」。
確定申告上、雑所得の赤字は他の所得と損益通算(=相殺)することができないのですが、1960年代に政治家が次々に赤字の雑所得と自身の給与所得を損益通算させて税金の還付を求める確定申告が相次いだため、それ以後雑所得の赤字の損益通算を認めないように税制改正されたのだとか・・。それ以来政治家に対する税務調査等もほぼ行われていないという話も。・・もはややりたい放題ですね。
新NISAがスタート!さあ何に投資する?
2024/02/01 17:47:08 株式投資
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今年の1月から新NISAが始まり、この1ヶ月の間に日経平均も33,000円から一時37,000円まで駆け上がりました。元々日本株が上昇する要因はいくつかあったのですが(詳しくは令和5年7月号の沢辺通信に書いています。HPからも見れます!)、それに加えてこの新NISA資金流入を期待して欧米の機関資金も入ってきたこと(実際の新NISA資金はまだそこまで入っていない模様)、また景気が悪くなってきた中国への投資資金も日本に流れて来ているようです。
では、私達も乗り遅れないように新NISAを使って投資をして行きたいですが、何を買えばいいでしょうか?特に積立NISA用として人気があるのは、世界中の株式に分散投資している投資信託(オール・カントリー型。略して「オルカン」と言われている)です。個別株は何を買っていいかわからないし、経済成長の地域差はあっても世界全体では経済成長は続いていくでしょう!と思う方にはピッタリです。世界の経済は繋がっているので必ずしもリスク分散にならない部分はありますが、ドルコスト平均法を使って積み立てていくといいと思います(令和5年11月号の沢辺通信も参照して下さい)。それ以外では、特に経済成長が著しいインドの株式で運用している投資信託なども狙い目だと思います。
個別株を買いたい!という方もおられると思います。一般的にはJTやソフトバンクなど、配当利回りが5%前後ある大型株を推奨する記事等が多いですが、配当金以上に株価が下落しては意味がないので、絶対潰れない企業+(緩やかでもいいから)安定成長していて株価も比較的安定+それなりの配当利回り、が見込める銘柄を選びたいです。
その筆頭は、やはり令和5年11月号で取り上げたNTTですが、他にも今なら銀行株も狙い目だと思います。メガバンクは結構値動きが大きめなので、(もともと安値で放置されていた)地銀のほうがNISAには向いている気がします。広島銀行で現在配当利回り3.6%くらいですから、まずまずだと思います。
一昔前なら電力株も狙い目だったと思いますが、現在は原発にかかわるトラブル、コロナ禍での発電コストの上昇など、リスクも小さくない業種になってしまいました。ただコスト上昇は、電気代を値上げしちゃえば吸収できることが今回明らかになりました。成長性は少ないと思いますが、タイミングによってはNISA対象に考えるのもアリではないでしょうか。
今後の市場規模拡大が見込め、地政学リスクから日本国内への工場誘致も相次ぐ半導体関連株が現在株式市場では注目度ダントツですが、値動きがかなり荒く、配当利回りがあまり高くないのでNISAには不向きです。NISAで買った株式で損失が出ても損益通算できませんので、株価が大きく下落するとNISAのデメリットをもろに受けてしまう可能性があります。
なお、これらの内容はあくまで個人的見解を述べているだけであり、売買を指示、推奨しているわけでは一切ありません。投資は自己責任でお願いします!