暦年贈与が廃止!?
2021/09/01 13:46:02 相続
コメント (0)
年間110万円までの贈与は非課税になる暦年贈与ですが、この非課税枠が廃止されるのではないかという声が最近大きくなっております。発端は令和3年度の税制改正大綱で「贈与税と相続税をもっと公平に課税していく」と暗に匂わせてきたことにあります。つまり、生前に贈与しておいたら無税なんて不公平じゃないか、ということです。
現行でも、相続が開始した場合には「相続人に対する3年前までの贈与財産」は相続財産に含め直して相続税を計算することとなっています。ただもちろん3年超前の贈与財産や、相続人以外(例えば、孫など)への贈与は相続財産に含め直しません。
実際に、数年以内に改正になる可能性はかなりあると思います。110万円の非課税枠が0円になるというよりは、上記の含め直しする期間を10年に変更する、もしくは何十年でも期限なく含め直す(アメリカ式)方法が考えられます。個人的には、民法上の特別受益とも合致するので、10年が有力ではないかと思っています。
ビル・ゲイツ氏離婚の相続税対策疑惑
2021/05/31 19:11:44 相続
コメント (0)
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が離婚を発表しました。おしどり夫婦と呼ばれていたのに突然の発表、という印象が強いらしく、巷では「相続税対策(のための偽装離婚)では」という噂が立っています。個人資産が14兆円くらいあるそうで、相続が発生したら7兆円くらい相続税(アメリカにも日本の相続税と同様のものアリ)がかかると言われています。ところが、離婚に伴い財産分与が発生し、例えば半分の7兆円が奥様側に渡っても原則は非課税となるため、結果的に莫大な額の税額軽減がされる可能性があるのです。
日本でも同様の考えで、財産分与は婚姻期間中に2人で築いた財産をきちんと分けるためのものなので、贈与とは意味合いが違うため、離婚時の財産分与に伴う贈与税は原則課税されない、とはっきり決められています。
これを読んで偽装離婚が頭によぎった資産家の方がおられるかもしれませんが、「原則」ということなので、分与された財産が過大である場合や、税金逃れを目的とした偽装離婚と認められる場合は贈与税を課する、ともはっきり決められていますのでご注意ください(^_^;)
うまく使いたい、自筆証書遺言書保管制度
2020/08/03 16:26:09 相続
コメント (0)
遺言書には大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」と公証人が作成し公証人役場で保管される「公正証書遺言」の2種類があります。「自筆証書遺言」は自分でいつでも作成できるので一見お手軽そうですが、有効になるように所定の内容を記載しておく必要がありますし、また遺言者の死亡後に家庭裁判所で「検認」請求をしなければいけません(その前に開封しても無効にはなりませんが、偽造等されていないことを客観的に証明できなくなります)。どこに保管しているかわからなくなる、という可能性もあります。
このような欠点を補うため、令和2年7月10日より「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。法務局で事前に遺言書の内容が有効かを確認してもらえて、保管してくれるようになります。画像データでの保存もされるため検索が容易になり、また家庭裁判所の検認も不要になります。事前に予約し、遺言書、住民票、身分証明書、手数料(3,900円)などを持参すればOKです。
ただし法務局では有効性の確認と保管はしてくれますが、書き方を教えてくれたり相談に乗ってくれるわけではありません。「ご相談には一切応じられません」ときっちり注意書きされていますので、内容自体の専門的なチェックが必要であれば、司法書士や行政書士に依頼することになります。
まだ使えます。タワーマンションの相続税対策
2016/09/30 17:50:59 相続
コメント (0)
今、広島駅周辺は急激に再開発が進んでいます。広島駅南口Bブロックに建設されるシティタワー広島は、広島駅直結で、中四国・九州地区で最高層の52階建てだそうです。
今、首都圏等でもタワーマンションはとても人気があります。マンションでも値が下がりにくく、転売や賃貸も考えた投資物件として外国人からの引き合いも多いそうです。そして大都市圏ではタワーマンションは相続税対策として取得されることも多いです。
タワーマンションは上の階に行くほど人気があり、一物件が億を超えることもめずらしくないのですが、こと相続税評価となりますと、タワーマンション全体の評価を面積比率で按分することになります。2階と最上階でも、面積が同じなら評価も同じになります。ですので、1億円で取得したマンションも相続税評価額は5,000万円、というケースも出てきますので、その差額分相続税対象額を減らすことができるのです。
ただこの相続税対策、税務当局から否認されたケースもあります。その事例では相続税評価額を2億円以上下げて申告したのですが、相続開始直前にマンションを取得しており、また被相続人がマンションを訪れた形跡がなかったので、被相続人に本当に取得する意志があったのか定かでなかったことと、相続が開始して1年程度で売却されたため、明らかに相続税を減らす目的のみであったとされ、正当な相続税計算と認められませんでした。他の否認された事例を見ても、すぐに売却するのは税金逃れ行為とみられるようです。
このようなことがなければ、購入側としては、適正にマンションを購入し、正当な計算に従って評価しただけなので、何の問題もありません。タワーマンションは人気のため抽選となることも多いようですが、一物件いかがですか!?
※平成28年11月追記・・平成30年以降に建築されるタワーマンションについて、評価方法を改正する方向で検討がされています。
国外財産への課税強化の発端となった、「武富士事件」
2016/04/11 11:12:21 相続
コメント (0)
近年、課税当局は国外財産への課税を強化しております。たとえば、平成26年より、5,000万円以上の国外財産を有する方は、毎年「国外財産調書」を税務署に提出する義務が生じましたし、平成27年7月以降、1億円以上の有価証券等を有する方が国外転出する場合は、原則その含み益に対して(売却していなくても!)課税されることとなっております。
このように国外財産に対して監視の目が厳しくなったきっかけは、いわゆる「武富士事件」と呼ばれる、課税当局が平成23年に最高裁で逆転敗訴し、本税1,600億円と還付加算金(税金につく利息のようなもの)400億円を返還した一件が発端になっております。
事件の概要はこうです。父がオランダ法人の株式(この法人が武富士の株式を所有している)を香港に住む長男に贈与しました。非居住者(ざっくりいえば、国外に住む者)が国外財産を贈与によって取得しても、(日本の)贈与税は課税されません。ちなみに、香港には相続税や贈与税そのものがありません。
これに対し、課税当局や東京高裁は、(1)年間日数のうち65.8%は香港に滞在していたが、日本滞在中は出国する前の自宅(部屋は家財道具等がそのまま維持されていた)で生活していたこと、(2)香港での居住はサービスアパートメント(ホテルとアパートの中間的なもの)であった、等の理由により、本当の生活拠点は日本であり、香港への出国は、(税法的には合法ながら、)不当な租税回避目的の行動だとして、(課税当局の最終兵器とも言える、)行為計算の否認の規定適用を行い、また支持しました。つまり、不当な税金逃れのために国外居住したのだから、国外に居住しているという事実はなかったものとみなす!というのです。
しかし、最高裁ではこの主張を退けました。理由としては、「贈与税回避の目的があったとしても、客観的な生活の実態が消滅するものではないから、各滞在日数を調整したことのみをもって、生活の拠点が香港にないとまでは言えない」というものでした。
この事件や、他にも課税当局に不利な判決の出た事件等もあり、課税当局は、これ以上の財産の国外流出と、それに伴う課税逃れを阻止しようと、躍起になっているわけです。税法の改正が「いたちごっこ」である側面が垣間見えますよね。
ちなみに、現在は改正により、非居住者であっても、日本国籍を有する一定のものは国外財産にも課税されることとなっております。