新NISAも始まるので、投資について考える
2023/11/01 16:53:18 株式投資
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以前も取り上げましたが、令和6年1月よりNISA制度の改正があります。投資枠が2~3倍程度、非課税期間が無期限になり、特に長期投資に有利になりました。かなり税制上の優遇をするから、老後資金は自分で運用してくれという国の意図がはっきり見えます。
最近では株式でも配当利回りが5%を超えるような銘柄も散見されますので、これらの配当を無税で受け取り、将来的に値上がりした元本も無税で換金できれば文句なし!ですが、長期投資で株式や投資信託を購入するからには値下がりリスクも当然発生します。その長期投資リスクをなるべく軽減するためによく言われるのが「分散投資」です。
分散投資だ!ということで世界各国の投資信託等を少しづつ購入する方もおられますが、これはおすすめできません。世界経済は繋がっており、どこかで暴落が起きれば他の場所でも影響が波及して暴落するのが常です。「地域分散」の考え方では、すべてが同時にコケるので結局リスクヘッジにならないのです。
ですので、分散を考えるなら「時間分散」、つまり購入する日時を分散してリスクを軽減するのが正しいです。「ドルコスト平均法」はまさにこの考え方で、暴落があった時期には同じ資金でより多くの株式等を取得できるので、平均取得単価を下げることに繋がります。
個別の株式に目を向けますと、新NISAを意識して、安定した個人株主を増やしたいという動きが増えています。例えばNTTは今年7月に1株→25株へ株式分割を行い、1単元(=100株)を18,000円前後で買えるようにしました。この金額でしたら、毎月予算に合わせて数万円ずつ積み立て感覚で株式の買い増しができます。NTTは将来的に日本政府が株式を売却していく方向で議論されていますが、国外事業展開をしやすくするため、という噂もあります。そうなると将来性も高く、安定した成長と配当、かつ絶対潰れないであろう企業ということでNISAには最適な銘柄だと思います(購入は自己責任でお願いします!)。
日経平均はバブル超えの4万円に届くか!?
2023/07/03 15:02:18 株式投資
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日経平均株価が強いです。7/3現在で33,700円前後で推移していますが、4月時点では28,000円前後でした。この3ヶ月間一本調子で5,000円以上上がり続け、現在に至ります。この間アメリカが下がっても日本株だけは独歩高の強さで、最終的にはバブル高値(1989年末の38,915円)を超えて4万円に到達するのでは?という声も出始めております。
今回ここまで日経平均が上がっている理由ですが、実は結構わかりやすい材料が複数重なっており、この上昇はまだまだ続く可能性があります。一つずつ取り上げてみたいと思います。
(1)半導体工場等の日本回帰
半導体は「令和の米」と言われるほどあらゆる製品・武器を作るのに欠かせないもので、アメリカはその半導体の先端技術品サプライチェーンから中国を分断する動きを露骨に行っています。その一端として台湾の「半導体製造の巨人」TSMCの工場を、台湾有事に備えてアメリカや日本(熊本)に建設を始めています。また日本企業も北海道などに政府の援助を受けて先端半導体工場を建設するなど、今や物価・賃金安、円安で中国よりもコストを安く抑えられて政治的リスクも低い日本国内への工場誘致が活発化しており、これが日本経済活発化の期待を呼んでいます。
(2)バフェットの日本株買い増し
伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏が3年前から三菱商事などの商社株を買い増す意向を表明し、今も買い増しを続けております。商社株は過去にないほどの上昇を続けており、あのバフェットが日本株をこんなに買い増しているのだから、日本株は間違いない!とばかりに国外の資金が日本株に集中しています。また中国や韓国の経済の将来性がかなり危ぶまれており、特に中国は不動産バブル崩壊秒読みとも言われていますので、アジア方面への投資資金が中国から日本に相当流れているようです。
(3)日本証券取引所の「異例の」改善要請
日本証券取引所がPBR1倍割れの企業に対して、「もっと資本効率や収益性の改善をしなさい」と異例の要請を行っていることも話題になっています。PBR1倍割れというのは、例えばその企業の純資産が3,000億円あるのに、株価の時価総額(=株価×株数)が1,500億円しかない(この場合PBR=0.5となる)状態で、株主からすれば、すぐに会社を解散して資産を分配してくれたほうが株式の価値が2倍になる計算です。「そんな状態での経営って、ダメでしょ」「もっと株価が上がる努力をしなさいよ」と日本証券取引所がお叱りを入れたわけです。これを受けて、例えば銀行などは今期大幅な増配を発表しており、1株あたり配当金を、三菱東京UFJが32円→41円、広島銀行が27円→36円など、投資冥利が上がって来ています。
損したのに課税される?仮想通貨の「総平均法」
2021/06/29 15:13:12 株式投資
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世界各国でコロナによる経済腰折れを防ぐべく大規模な財政出動がなされた結果、その資金の一部は株式市場のみならず、金(きん)などの資産や、果ては高級時計や絵画などにも投資・投機資金として流れ、高騰の一途をたどって来ました。最近ではコロナ後の景気V字回復は既定路線で、その後のインフレ懸念で利上げが早期に行われるという警戒感が市場の話題の中心となりつつある状況です。
ところで、一時はほぼ話題に上がらなくなった仮想通貨(=暗号資産)も昨年12月頃から大幅上昇しており、例えばビットコインは昨年秋100万円→今年4月高値700万円→6月400万円、と波乱の動きになっています。こうなると3年前同様に仮想通貨の利益を確定申告する方が多数出てくると思うのですが、当時と比べて確定申告時の計算方法も整備が進んでおり、国税庁もかなり詳細なQ&Aや計算用のエクセルシートまでHP上で発表しております。
基本的な計算方法が3年前と変わった訳ではないのですが、1点気になったのは「評価方法の届出がない場合は、総平均法で計算する」(令和1年度より)という部分です。
計算方法には移動平均法と総平均法があり、移動平均法は売買の都度平均単価を計算し直していく方法で、総平均法はその1年間で買った金額と数量を全部足し算して、年末に初めて平均単価を出す方法です。通常トレードする場合はその都度利益が出たか知りたいので、移動平均法の計算を(自然に)行っているのですが、怖いのは移動平均法だと損してるのに総平均法だと利益が出てる計算になる可能性があることです。
例えば①500万円で1BTC買い、②450万円で1BTC売り、③300万円で1BTC買い(保有中)の場合、移動平均法では①と②だけを考えるので50万円の損になります。ところが総平均法だと(①+③)÷2の400万円が平均単価となるので、逆に50万円の利益になります。
もちろん逆のケースも起こりうるのですが、いずれにせよ総平均法は売買感覚に合わないので、仮想通貨の申告をされる場合は移動平均法の届出を合わせて出されることをおすすめします。確定申告書と同時に、翌年3/15までに提出すればOKです。
野村證券の多額損失から見える、過剰流動性の危うさ
2021/03/31 16:04:23 株式投資
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野村證券が3/29に、米国の子会社での金融取引で20億ドル程度の損失が発生する可能性がある、と発表しました。20億ドルは1ドル110円で換算すると2,200億円です。この金額自体は、野村證券(正確には野村ホールディングス)は2021年3月期に5,000億円程度の税引前利益の予測がされていることから、直ちに赤字転落とか、経営危機とかいったことになる金額ではありません。
しかし同じ取引先の金融取引で、世界大手のクレディ・スイスでも10億ドル~40億ドルの損失が発生するなど、その影響拡大を懸念する声が出てきています。極端な話、リーマンショックの引き金のようにならないか、ということです。
問題となった取引先は、米国のアルケゴスといういわゆるヘッジファンドで、保有資金の何倍もの取引額(=レバレッジ取引)で株式を運用していましたが、保有株が急落したことで債務不履行になり保有株の強制投げ売りが起こり、野村證券などが証拠金(=レバレッジ取引をするための保証金)の回収ができない可能性が高くなった、ということです。
株価がこれだけ上がってくると、極端にリスクの高い買い方をしてくる投資家が出てくるのですが、実際には株価は短期的には上がったり下がったりしているわけで、極端な買い方だと短期間でも急激な下落があればすぐ耐えきれなくなるわけです。
最近の株価は高値圏で乱高下しております。世界各国がコロナ対応のために過去に前例がない規模でお金を市場にばらまいたため、行き場のないお金が株式などの金融資産の価格を大きく押し上げているのですが、世界経済の回復期待だけで評価するには株価はすでに高すぎる域まできており、目先の上昇に乗っかるだけのような、逃げ足の早い資金が多くなっています。
また、今年1月に起きたゲームストップ事件をご存知でしょうか?米SNS「レディット」の掲示板で結託した個人投資家がゲームストップという米小売会社の株式を一気に買い上がり(1ヶ月弱で約18倍まで株価上昇)、同株式を空売りしていた米大手ヘッジファンドに数千億円の損害を与えて破産寸前まで追い込んだ、という事件です。ちなみにこの事件はヘッジファンドに不信感のある個人投資家が、狙ってヘッジファンドを潰しにいったと言われています。
こんなことも、市場にお金が極端に出回ってしまっている(=過剰流動性)からこそ起こるのです。
要するに今はすでにバブルなのです。日本では賃金上昇は一向に起こらないので実感はないですが、世界のお金の動きは明らかにバブル的です。バブルはすぐにではないにせよ、いつかははじけます。また政府も、多額の財政支出を増税という形でいつかは回収に来ます。アンテナを張って、危機に備えましょう。
半沢直樹で思い出した、JALの破綻と再生
2020/09/01 13:39:50 株式投資
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今シリーズから半沢直樹を見始めましたが、すっかりはまっております。私の息子いわく「悪役をこんなに好きになったドラマは初めて」らしく、大和田常務とか、シリアス演技なのにギャグ化してくるのも面白いですね。
第5話からの帝国航空の話は日本航空(JAL)がモチーフになっていますが、JALの経営破綻はそんな昔の話ではないので、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。JALは2010年に会社更生法の適用を申請して、負債総額2兆3,000億円以上で倒産。ところがわずか2年後の2012年9月には再上場を果たして、コロナ禍で業績が悪化するまでは毎年1,700億円以上の営業利益を叩き出す超優良企業に生まれ変わった、という激動の歩みをしている会社です。
当時は民主党政権で、前原国土交通大臣(例の女性大臣のモデル?)が再生タスクフォースを結成し、その後企業再生支援機構に引き継がれ、金融機関に5,000億円超の債権放棄をさせ、3,500億円の公的資金を注入し、株式を100%減資しました。
今サラッと100%減資と書きましたが、どういうことかわかりますか?100%減資なので、資本金を0円にするということです。それはつまり、株主の持っている株式がただの紙切れに変わったことを意味します。再生に向けて経営資源を少しでも維持するために、株主は全員切腹させられた、ということですね。
JALが再生したのは京セラ創業者の稲盛和夫氏が会長に就任して経営改革を図り、企業風土が変わったことが大きいと言われています。ドラマ同様、大幅な人員削減や企業年金の削減もあったようですね。日本を代表する企業ですし、このコロナ禍もなんとか乗り越えてもらいたいです。
ところで、当時は2009年の秋ころには、JALはもう破綻するだろうという話がかなり大きくなっていて、私もわかる範囲で色々調べた結果、「これは絶対、すぐにでも破綻するな」と思っていました。
そして当時の私の株式の取引履歴を見てみると、私は10月ころからしつこく空売りを繰り返していました。「空売り」とは株価が下がるほど儲かる仕組みの取引で、2009年10月始めの株価は1株140円くらいで、破綻して1円(紙くず)になると1株につき139円、10,000株なら139万円儲かるな、という算段でした。
ところが、たしか当時は「公的資金で、政府は何が何でもJALを殺さない」「救済する企業株主が現れて株価は急回復する」みたいな意見も根強く、そのうち「すぐにでも紙くずになりそうなのに、何でこんなに株価が下がらないんだ」と疑心暗鬼になり、自分の読みが誤ったのだろうと思って12月には完全に撤収しました。その後2010年1月19日に会社更生法を申請しましたので、なんて私には才能がないのだろうと思ったことを思い出しました。