AIで税理士がオワコンになるか、考えてみた
AIによって税理士の仕事がなくなる、とよく言われます。確かに近年、銀行取引を連携処理して会計ソフトに自動取込したり、スキャンした領収書をAIが勘定科目予測した上で会計仕訳に変換できるようになってきました。一見してみると、「そこまで会計ソフトでできるなら、税理士いらねーかな」と感じますね。ただ以前も弥生会計などの安価な市販会計ソフトが出てきた時に税理士の仕事は減ると言われましたが、実際はそうはなりませんでした。
理由としては、会計ソフトで自分で入力するにせよ、データを自動取込するにせよ、入力や設定の作業が必要ですし、自動取込してもさすがにチェックと修正が全く不要なわけではありません。なので、「会計事務がめんどくさい、わからない、時間がない」方にとってはあくまで会計事務はアウトソーシングしたいのだと思います。社長自身で会計事務が必要な事業者なら、なおさらですよね。
もちろん会計事務所も変わっていかないといけません。多様なAI処理に対応できるだけの設備投資が必要になりますし、スキルも学んでいかないといけません。AIへの設備投資は年々増えていき、だんだんと会計事務所はIT産業化していくかな、と思っています。また意識改革も必要で、私のような40代以上の人間にとっては「便利な部分だけ手作業からITに差し替えていけばいい」という感覚ですが、生まれたときからスマホやSNSが存在するZ世代の人にとってはそもそも手作業するという概念がなく、「自動化するのが当たり前」ですので、両方の感覚に対応できるようなハイブリッド感が必要になると考えています。
また税務というのは一見「税法」でカチカチに内容が決まっていると思われるかもしれませんが、実際は税法の内容だけで世の中の全ての商取引をカバーするにはほど遠く、国税庁が税法の具体的な取り扱いを指針する「通達」、実際の税務訴訟の「判決」も確認する必要があります。それでもグレーなゾーンは広いので、それらに加えて実際に税務調査を受けての「肌加減」や、顧問先様ごとの「実情」を加味した判断なども必要で、このあたりはさすがにAIが取って変わるのは難しいだろうと思っています。「税理士はオワコン」と言われないように、日々精進して行きたいと思います!
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