二極化市場をどう生きるか
2019/03/04 09:57:12 経営
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業種を問わず、市場の二極化傾向がより鮮明になっております。「大」企業と「小」企業だけが生き残り、その中間的な企業は淘汰されていくと以前から言われておりましたが、今は「大」も淘汰される時代となり、「巨大」と「小」しか生き残ることができなくなっております。
「巨大」企業ですら、たとえば家電小売り業界の王者であったヤマダ電機や、外食(牛丼)における吉野家など、圧倒的な低価格を実現できる企業もってしても、現在は消耗戦により苦戦を余儀なくされているところも少なからずあります。また、アマゾンやグーグルなどの圧倒的な技術やネットワークをもった新興IT企業が、業界地図やユーザーの生活そのものまで完全に塗り替えてしまいます。
その中で私たちがどのように生き残っていくべきか。まず間違っても「巨大」企業が行う、低価格戦略をとってはいけません。「小」が行っても、自らをへとへとに消耗させてしまうだけで長続きはしません。「巨大」ですら、一時期は圧倒的な低価格によりシェアを拡大しても、その後その低価格があだとなって自らの首を絞めているのです。中小企業なら言わずもがなです。
それでは、「小」はどのような戦略を取るべきか?それは、①市場を適切に絞り込むこと、②強み、付加価値、ブランディングを活かす、ことによって「高くても売れる」ようにすることです。特に新規参入企業にとっては、これ以外に生き残る道はありません。
「市場を適切に絞り込む」とは、言い換えますと、戦うべき相手と戦わない相手を区分するということです。小企業がいきなり戦場のまん真ん中に切り込んでいっても返り討ちに合います。自社の経営資源を集中させて、勝てる相手を選んで切り込んでいくために、「市場を絞り込む」のです。
ここでは、地域、場所、を例にとってみます。あなたの市場は、「広島市」ですか?「広島県」ですか?「○○町界隈」?それとも「日本」?「世界」?地域や地域性に大きく影響を受ける業種では、地域の範囲が広すぎると競合が多すぎてジリ貧になってしまいます。地域の範囲が狭すぎると市場規模が小さすぎて利益がでません。また、地域性により戦略が異なる場合もあります。一般的に、大都市圏と地方ではニーズの反応、種類が異なることが多かったりします。
お好み焼き屋を開店するのに、「広島市でナンバー1」では市場が広すぎます。「○○町周辺のサラリーマンの昼食を早く安く提供するお好み焼き屋でナンバー1」ならいけそうではないですか?回転数を多くして採算を合わせる戦略です。逆に、他にはない新鮮な魚介類の仕入れルートがあるならば、「サイドメニューの鉄板焼きと焼酎・日本酒が豊富な、○○町でナンバー1の店」でも戦えるでしょう。この場合は、「夜の宴会客」をターゲットに「単価を高くする」ことで採算を合わせる戦略です。「市場」と「自社の強み」は両輪であり、この2つがかみ合わないままの市場の絞り込みはまず成功しません。
経営的視点からみる、カープの長野選手獲得
2019/02/01 17:02:26 経営
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広島カープが丸選手のFAの人的補償として、巨人の長野選手を獲得しました。広島では街をあげての歓迎ムードで、もう丸ロス?もすっかり過去のものとなったかのようです(私含む)。この獲得は経営的視点からみてどういう意味があるのでしょうか?大いに私見を含めて掘り下げていきます。
まず過去の新聞等の記事を見ても、丸選手流出は既定路線だったようです。1年前の契約更改時にも、複数年契約を提示されなかったことに不満を持っていたそうですし、巨人の破格の条件提示、巨人に外野手の補強があまりなかった、丸選手のお父さんも大の巨人ファンだった・・等、巨人に行く要素がプンプンしていました。
ここまではしかたないですが、いざプロテクトリストを見ると長野選手が外れていた・・。ここで長野選手獲得に動いたのは経営的視点からも大正解だったと私は思います。以下がその理由です。
(1)総合的に見て、丸選手の穴を十分埋めれる
昨年の成績だけを見ると丸選手に分がありますが、長野選手も実績含め十分な成績を上げているし、また人柄・人望も厚く、新井選手の役割だった兄貴分としての立場も期待されるほど。そして人気も丸選手以上かも、という感じで集客・グッズ販売的にも期待できる。会社で言うとエースの営業マンが退社したが、入れ違いにオールマイティなゼネラリストが入社してくれたという感じ。巨人に選手が流出することはあっても、まさか巨人からスター級の選手が来るなど夢にも思っていなかったカープファンにとっても、新鮮さが半端ないでしょう(私)。
(2)相手の戦力を削げる
間違いなく長野選手は今年の巨人でもレギュラー候補でした。巨人も丸選手を獲得したことによってカープの戦力を落とせたでしょうが、それはこちらも同じ。さらに西武と結託して(と私は見てますが)内海選手、長野選手という人望の厚い2選手を移籍させたことで相手の士気もかなり落とせたはず。城を攻めるは下策、心を攻めるは上策という中国の大軍師諸葛亮孔明の言葉を地で行く感じです。とくにシーズン終盤で、必死に追いすがってくるか、それともあきらめムードになるか、という大きな差になった現れるはずです。
(3)金銭的優位
カープには人的補償に加え金銭補償として1億円位入ります。さらに丸選手に3年12億円を提示していたそうなので、長野選手へ年棒を払っても2億円位今年の経費が浮きます。もしもし長野選手が来年FAして巨人に戻ったとしても、再び人的補償+金銭補償が手に入る。しかも巨人は、カープが若手・ベテランどちらも獲得する意志・資金があると知ったのでますますプロテクトに悩む。投資的にいうと、長野選手の獲得はカープにとってローリスク・ハイリターンなわけです。
私はカープファンなのでポジショントークも大いに入っていますが、これで今年もカープが優勝しそうだと思いませんか!?最後にカープファンでない方へ、好き勝手書いてごめんなさい(>_<)
不動産の「時価」とは?
2018/09/02 16:29:18 経営
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不動産を売買する場合に、血縁関係のない第三者間の取引ですと、双方が同意した金額がそのまま時価となります。しかしそれが親族間であったり個人と関係会社との取引ですと、金額は市場の相場を無視して相当安い金額で取引したりすることも可能です。それだと容易に利益調整ができるとして、税務当局はさまざまな内容の規制をもうけています。
一例として、「個人が、法人対して時価の2分の1以下の金額で不動産等の譲渡をした」場合、その売値は実際に売った金額ではなく「時価」で売ったものとみなす、という規定があります。たとえば5,000万円で買った土地を3,000万円で法人に売却しても、その時の時価が6,500万円であれば、受け取った金額が3,000万円であっても、個人は3,000万-5,000万=2,000万円の損失とはみられず、6,500万-5,000万=1,500万円の利益(=譲渡所得)があったものとして所得税・住民税が課税されます。
さらにいいますと、法人のほうも時価6,500万円のものを3,000万円で譲ってもらったとなると6,500万-3,000万=3,500万円は受贈益と認定されて法人税が課税されます。
このように税法では、「時価」を誤って取引すると売主、買主双方から課税するというダブルパンチを準備していますので、時価を誤ることは致命的な問題になる場合があります。なお今回は「(売主)個人→(買主)法人」でしたが、このような規制は「個人→個人」「法人→個人」「法人→法人」の場合にもそれぞれ異なる取り扱いがあります。今回はこの内容は割愛します。
で、そんな大事な「時価」ですが、実は税法には「時価」は「こう計算するんだよ」という規定は一切ありません。なんでやねん!と思わずつっこみたくなる事実です。そのため税務上の時価の算定は人によっても意見の分かれるところであり、非常に気を遣います。例えば以下のような算定方法が時価の候補にあがります。
(1)近隣の類似した不動産の売買実例をもとに時価を推定する
(2)帳簿上の金額を時価に近いものと考える
(3)毎年発表されている公示価格を参考にする
(4)相続税評価額を参考にする
→土地の場合、一般的に相続税評価額:時価=80:100と言われています
(5)固定資産評価額を参考にする
→土地の場合、一般的に固定資産評価額:時価=70:100と言われています
(固定資産評価額に似て異なるもので「固定資産課税標準額」がありますので注意下さい)
(6)不動産鑑定士の鑑定評価を採用する
このうちいずれの結果を時価として算定するかはケースバイケースのため一概にどれとは言えません。ですので実際に時価の算定が必要な場合はぜひ事前にご相談いただければと思います。
なぜ今、広島カープの人気に火が付いたのか(前編)
2017/12/01 14:59:13 経営
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クライマックスシリーズは残念でしたが、広島カープは二連覇しました!言うまでもなく、強いです。そして今や球場のチケットの入手が困難になるほど、人気球団です。会社帰りに市民球場にいってもガラガラで、カバンや弁当を後ろの空いている座席に置き放題(本当はダメですが)だったころと比べると、信じられませんよね!だいたい広島市在住の身からすると、カープ女子だの、関東のファンが急増しただのといった現象は今だに「なんで??」じゃないですか?
今やナベツネさんもカープの球団経営には一目置いていたり、DeNAが球団を黒字化させた経営手法もカープから学んでいたりするのですが、経営戦略という目線からすると、なぜ今その人気に火が付いたのか、理由は明確です。「野球の見せ方・楽しませ方が現代にマッチしている」からです。
(以下は私見、想像が大いに入っています。ご注意ください(^_^;))
昭和の高度成長期である昭和30~40年代、夕食後の家族での団らん・娯楽といえばテレビでした(私はまだ生まれてませんが・・)。月曜日以外は必ず野球中継があり、王長嶋が全盛期、怒涛のV9ですよ。この頃は野球が見れるだけで楽しい、ましてや球場に見に行けるとなれば・・!海外旅行に行くくらいの大興奮ですよ。
時は流れまして平成20年代、今やスマホはひとり1台があたりまえ、これさえあればネットも動画も見放題。テレビ?・・最近あまり見なくなりましたね。野球?・・好きですけど、地上波では最近あまりやってませんよね。スカパーなら全試合見れますけど、まあヤフーで試合結果だけチェックする日も多いですかね。あ、今からAmebaTV見るんで、これで失礼します。
今は、昔のように野球観戦が特別な娯楽ではなくなっています。ただ野球を見るだけなら他にも面白いものがいっぱいあるわけです。球団から「野球を見せてやる」と言われても、昔ならそれだけで十分楽しかったんですが、今は(それだけでは)特別な娯楽ではないんです。飲食店から「とにかく腹いっぱいにさせてやる」と言われてもそれだけではその店に行きませんよね。税理士から「申告書(だけ)作ってやる。(それで十分だろ?)」と言われてもそれだけではその税理士を選びませんよね。それと同じです。
で、今は昔ほどはTV放映権などの収入が入ってこなくなり、球団も赤字になったりしているのですが、親会社からすると、「まあ今は昔ほどの野球人気はないかもしれないけど、国民的スポーツなのは変わりないし、数億円程度の赤字なら、まあ広告宣伝費と考えればいいでしょう」という感じで抜本的な変化はなかったわけです。
ところが、カープには親会社はありません。そして、2004年のプロ野球再編問題時に「解散か」「阪神が吸収合併か」「ライブドアカープ誕生か」などといううわさまで流れたカープからすると、今後の球団経営に並々ならぬ危機感があったのではないでしょうか。 (次回につづく)
中小企業は「ちょっと違う」経営で生き残る
2017/10/02 16:47:45 経営
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中小企業は「よそと同じ」ではなかなか生き残ることは難しいので、「差別化」が必要なのは言うまでもありません。ただ私は、その差別化の度合い・バランスがとても重要だと思っています。
たとえば、あなたがパン屋さんを経営されていたとして、世界で初めて米粉を使ったパンを販売したとします(あくまでフィクションです)。この米粉パンはメディアでも取り上げられ、あなたのお店には連日お客さんが開店前から行列をなすようになりました。・・・では、あなたは一生左うちわで暮らしていけるでしょうか?
答えはNOです。NOになる明確な理由があります。なぜなら、次に大手企業にそれを模倣されてあなたの市場ごと根こそぎ顧客を奪われていく、というシナリオが見えるからです。
そうなる原因は、「米粉パン」という商品の「①市場が大きい」ことと、「②他社の模倣が容易」だということです。掘り下げてみますと、①は中小企業が開拓するには市場が大きすぎた、つまり市場の適切な絞り込みができなかったことが誤りです。②は原材料を小麦粉でなく米粉を使用する、という明確な差別化であったと同時に、わかってしまえば参入が容易である、ということが誤りです。
(もちろんそのパンが「米粉である」以外の差別化があれば話は別ですよ!)
大前提として、中小企業は大企業と同じ土俵で戦ってはいけません。資金力、人材、技術力で必ず負けます。大企業のいない隙間を縫って市場を絞り込んでいかなければいけません。いわゆる「ブルーオーシャン戦略」ですが、その中でも「全く顧客がいない海」では売り上げが上がりません。ある程度の市場はあるが、大手企業がわざわざ参入するほどでもない規模の市場を絞り込むことが絶対条件だと思います。例えば「日本全体で10億円程度の規模であればわざわざ大手企業が参入してくる可能性はかなり低い、その中でシェア30%を目指す」などです。言ってみれば、大手企業とは「ちょっと違う」ところで戦うのです。
また、商品の差別化も大手企業と戦ってはいけません。iPhoneのようにどう考えても「アップルしか造れない」商品があれば戦えますが、中小企業がそんな製品を造りつづけるのはムリです。
あるコラムでこんな話がありました。ある繁華街で飲食店を営む店主が、「向かいの牛丼チェーンはいつも客が少ない。いつか潰れるな。何なら俺が買い取ってやろうか」といったそうです。ところが実際にはこの店は全国でも上位の高収益店でした。客の回転率がとても速いので、いつも満席ではないが1日あたりの客数はかなり多かったのです。
この話のポイントは、新メニューが売れているというようなわかりやすい差別化ではなく、同業他社でもわからないような、「お客の高回転率を維持できるオペレーションの確立」といういわば「ちょっとした」部分の差別化であったということです。「同業他社でも気づかないが効果的」な差別化、というのは最強の差別化になるわけです。