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中小企業は「ちょっと違う」経営で生き残る

2017/10/02 16:47:45  経営
 中小企業は「よそと同じ」ではなかなか生き残ることは難しいので、「差別化」が必要なのは言うまでもありません。ただ私は、その差別化の度合い・バランスがとても重要だと思っています。

 たとえば、あなたがパン屋さんを経営されていたとして、世界で初めて米粉を使ったパンを販売したとします(あくまでフィクションです)。この米粉パンはメディアでも取り上げられ、あなたのお店には連日お客さんが開店前から行列をなすようになりました。・・・では、あなたは一生左うちわで暮らしていけるでしょうか?
 答えはNOです。NOになる明確な理由があります。なぜなら、次に大手企業にそれを模倣されてあなたの市場ごと根こそぎ顧客を奪われていく、というシナリオが見えるからです。

 そうなる原因は、「米粉パン」という商品の「①市場が大きい」ことと、「②他社の模倣が容易」だということです。掘り下げてみますと、①は中小企業が開拓するには市場が大きすぎた、つまり市場の適切な絞り込みができなかったことが誤りです。②は原材料を小麦粉でなく米粉を使用する、という明確な差別化であったと同時に、わかってしまえば参入が容易である、ということが誤りです。
(もちろんそのパンが「米粉である」以外の差別化があれば話は別ですよ!)

 大前提として、中小企業は大企業と同じ土俵で戦ってはいけません。資金力、人材、技術力で必ず負けます。大企業のいない隙間を縫って市場を絞り込んでいかなければいけません。いわゆる「ブルーオーシャン戦略」ですが、その中でも「全く顧客がいない海」では売り上げが上がりません。ある程度の市場はあるが、大手企業がわざわざ参入するほどでもない規模の市場を絞り込むことが絶対条件だと思います。例えば「日本全体で10億円程度の規模であればわざわざ大手企業が参入してくる可能性はかなり低い、その中でシェア30%を目指す」などです。言ってみれば、大手企業とは「ちょっと違う」ところで戦うのです。

 また、商品の差別化も大手企業と戦ってはいけません。iPhoneのようにどう考えても「アップルしか造れない」商品があれば戦えますが、中小企業がそんな製品を造りつづけるのはムリです。

 あるコラムでこんな話がありました。ある繁華街で飲食店を営む店主が、「向かいの牛丼チェーンはいつも客が少ない。いつか潰れるな。何なら俺が買い取ってやろうか」といったそうです。ところが実際にはこの店は全国でも上位の高収益店でした。客の回転率がとても速いので、いつも満席ではないが1日あたりの客数はかなり多かったのです。

 この話のポイントは、新メニューが売れているというようなわかりやすい差別化ではなく、同業他社でもわからないような、「お客の高回転率を維持できるオペレーションの確立」といういわば「ちょっとした」部分の差別化であったということです。「同業他社でも気づかないが効果的」な差別化、というのは最強の差別化になるわけです。


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