平成29年税制改正発表
2017/01/31 19:29:29 節税
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税制の改正は毎年あり、例年年末前後には税制改正大綱という「今年はこんなの決めましたぜ」の内容が記載されたものが発表されます。今回分も自民党のホームページから内容を閲覧することができます。141ページありますので、見ることはおすすめしません(^_^;)。重要と思われるもののみ一部ピックアップしてご紹介させていただきます。
(1)103万円の壁、なくなる
前々回の通信で題材にあげさせていただいた、配偶者控除の「103万円の壁」ですが、これが150万円に改正されます。奥様が年収150万円まで仕事しても、ご主人の配偶者控除が取れるよ、ということになりました(奥様本人の税金は発生しますが)。ただし前々回取り上げました通り、社会保険の130万円の壁がドドーンと存在しますので、現実的には103万円→130万円への改正ととらえていいと思います。また、ご主人の所得が多いと配偶者控除が使えなくなる、という改悪もセットになっております。来年(平成30年)から適用されます。
(2)相続税の納税義務の見直し
国税当局の、国外財産の課税強化には力が入る一方です。発端は平成23年に最高裁で逆転敗訴し、約2,000億円の贈与税を還付するという屈辱を味わった「武富士事件」があるからです(平成28年5月1日号の通信参照)。今までは、日本国籍がなく、かつ5年以上日本に住所がない方は国外財産には相続税・贈与税が課されませんでしたが、これが「10年以上」に改正されます。5年間シンガポールに移住して贈与税無税で財産を子どもに渡してから帰国しようとしていた方が、この改正のためもう5年日本に帰れなくなった、というケースが本当に出てきているようです・・。
(3)持分なし医療法人への移行に関する改正
医療法人を経営されているドクター以外には関係のない内容ですが、該当する方にとっては超重要な改正です。とはいえ詳細は発表されていませんが、今までは持分なし医療法人に移行しようとしても、「みなし贈与税」という法人なのに贈与税を課されるという特例のため実質不可能だった移行が、条件付きで贈与税を課さなくする、というものです。その条件がまだ明らかになっていませんので、発表を注視していきます。
※ところで、消費税はどうなったっけ??
今回の改正ではないのですが、「そういえば消費税ってもう8%から上がらなくなったの?どうだっけ」と思われている方も多いのではないでしょうか?本当は今年(平成29年)4月に10%になる予定だったのですが、再来年(平成31年。平成という呼び方ではなくなってるかもしれませんが)10月からに再延期されています!消費税増税に加えて政府の財政支出を減らす緊縮財政を試みたことが、アベノミクスの減速にかなり影響したという反省もあるとかないとか・・。混乱はまだまだ続くかもしれませんね。
おさらい!ふるさと納税
2016/12/25 12:09:29 節税
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ここ数年、お礼品の充実度がヒートアップしてきたふるさと納税。気になるけどまだしていない、という方からがっつり満喫されている方まで様々ですが、今回はそのふるさと納税をおさらいしてみます。
ふるさと納税とは、お住まいの市町村以外へ住民税を納税すること(形式は寄附ですが)を言います。寄附金の使い道を指定して地域を応援する、というのが当初の目的でしたが、いまはその寄附のお礼品が充実しているため、これを目当てにふるさと納税をされる方がほとんど(ですよね?)です。
お礼品には各市町村特産のお肉、お米、海産物、果物から、お酒、お菓子、宿泊券、中にはカブトムシやニュースキャスター出場権(!)など様々なものがあります。「ふるさとチョイス」などのポータルサイトではカテゴリ別、地域別、寄附金額別などで細かく条件設定して探すことができます。
時々勘違いされている方がいらっしゃいますが、ふるさと納税では節税できません。計算上、ふるさと納税をすると税負担が2,000円は必ず増える仕組みになっています。ただ、2,000円を超えるお礼品がもらえることで、結果的にお得だということです。
また、1年間でできるふるさと納税の金額には実質的に限度があります。限度額を超えると、寄附した金額に対して控除される所得税と住民税の額が少なくなり、自己負担が2,000円を超えます。限度額の計算は省きますが、例えば給与所得のみで年収600万円の方ですと6万円~8万円位になります(扶養家族数、その他の所得控除項目等により変動します)。前述の「ふるさとチョイス」などで、かなり正確な試算ができますので、参考にされてから計画的にふるさと納税しましょう。このようなポータルサイトに一度登録しておいてからクレジットカードなどでふるさと納税すると、かなりサクサク進みます。
そしてふるさと納税した後は、確定申告が必要です。勝手には税金の精算はしてくれません。各市町村から「寄附金受領証明書」が送られて来ますのでそれを確定申告書に添付して計算します。
ただ平成28年1月以降のふるさと納税にはワンストップ特例制度というものができており、1年間の寄付先が5自治体までの場合確定申告をしなくても住民税から自動的に精算してくれるようになりました。この制度を利用するためには寄附をした自治体に制度利用の申請書を送りますが、注意しないといけないのは、寄附をした全ての自治体にそれぞれ送らないといけないことです。申請書を送り忘れた自治体があった場合、寄付先が6自治体を超えた場合、申請期限(1/10ころ)を過ぎてしまった場合は、あらためて「全て」の寄附金につき確定申告をしてください。
また、ふるさと納税とは異なりますが、お礼品をもらえる制度として株主優待があります。これは上場株式を持っている株主に対して、配当金と合わせて各企業がお礼品をくれるものです。「株主優待生活の桐谷さん」などが有名です。私も一時期いろいろもらったことがあり、商品割引券、商品詰め合わせ、牛丼金券、居酒屋金券、スーツ贈答券、JR50%割引券、航空料金割引券、スポーツクラブ利用券など結構重宝していました。金券ショップで換金も可能だったりします。こちらに興味のある方は個別に(笑)お問い合わせください。
「103万円の壁」は、これからどうなる?
2016/12/01 12:30:58 節税
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国会では、現在の103万円の壁をなくし、「配偶者控除を150万円以下で最終調整」するなどと取りざたされています。今回はこれをおさらいしてみようと思います。
まず103万円の壁とは、給与収入のみがある方の場合、年間給与収入(総支給額から非課税通勤手当を引いたもの)が103万円以下の場合、給与所得控除(給与収入は自動的に一定額が非課税になる)の65万円を差し引いた金額(=所得金額)が38万円以下となり、この場合その配偶者は配偶者控除という所得控除が受けられるため、所得税や住民税が減額されます。
しかし、この103万円が意識されるあまり、たとえばパートの主婦の方がこの金額を超えないように仕事時間を減らしたり、12月は職場への出勤を控えたりして103万円に届かないようにコントロールする、ということが常習化されています。これが「103万円の壁」です。そのため、この配偶者控除が女性の社会進出を妨げている要因になっているとの指摘が以前からありました。特に日本では労働人口が減少傾向に転じてきている中、女性の労働力が抑制されるというのは経済的にも大きな損失です。
そのため、この配偶者控除の対象となる「年収103万円以下」を「年収150万円以下」に改正すれば、パート主婦がもっとたくさん仕事ができて、より社会進出もできるし、労働力も確保できるというわけです。では、これでめでたしめでたし!でしょうか? ・・・ことはそう単純ではありません。
まず一つ目は、「家族手当」の問題です。民間では減ってきていますが、公務員等は、今でも扶養となる配偶者がいる場合には月額〇万円の家族手当が支給されている、というケースが多々あります。配偶者控除が使えても家族手当は外される、ということになると、やはり年収は抑えられてしまうでしょう。そのため、安倍首相は「家族手当も年収150万円以下を基準とするよう」各企業等にも要請するとしていますが、もちろん義務ではないので、これを機に家族手当自体を廃止するところも出てくると考えられます。
二つ目は、国の「税収確保」の問題です。配偶者控除の基準を切り上げれば、対象となる人数が増え、結果的に税収が下がることになります。個人的には、それで女性の社会進出、労働力が増えるのならいいじゃないか!と思うのですが、国は税収確保のため、配偶者の所得が一定額以上(一説では1,220万円以上)の場合は配偶者控除を使えなくする方向で調整中とのことです。
三つ目は、これが一番重要ですが、「130万円の壁は変わらず存在するため、どうせ150万円ではなく130万円で歯止めされるのでは?」ということです。年収130万円の壁は、社会保険の扶養から外れる収入のラインです(こっちは通勤手当も含みます)。現状でも年収130万円を少し超えるケースでは、税金の負担増よりも、社会保険の負担増の方がはるかに多くなります。私も、たとえ配偶者控除の基準額が150万円以下に改正されても、社会保険負担を考えれば、現状では130万円以下にとどめた方がいいですよ、とお話させてもらうことになると思います。
来年より始まる、スイッチOTC薬控除とは
2016/11/01 11:24:34 節税
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来年(平成29年)より、医療費控除を拡充する意味合いで、スイッチOTC薬控除(セルフメディケーション税制)の制度が始まります。従来の医療費控除だけでは、病院にあまりかからずに市販薬をよく購入される方は、年間数万円位しかせいぜい使わないので、領収書を集めても結局毎年医療費控除が使えない!というケースも多いのではないでしょうか。そのような方にも今後は医療費控除が受けれるようになる可能性があります。
従来の医療費用控除(これは来年以降も変わらず使えます)は、自分と、生計を同じくする家族の医療費や医薬品の合計額が年間10万円(または総所得金額等の5%)を超える場合には、その超える部分の金額(入院給付金等で補てんされる金額を除く)について所得控除を受けれるというものです。来年からは、従来の医療費控除とスイッチOTC薬控除のいずれかを選択できます。重複して使うことはできません。
新制度のスイッチOTC薬控除は、まずその年内に健診、予防接種、がん検診などを受けている必要があります。その方が、その年に購入したスイッチOTC薬の額が1万2千円を超えるときは、その超える部分が医療費控除の対象になります。限度額は8万8千円(つまり合計10万円=従来の医療費控除の足切り額)です。医薬品の領収書や健診を受けたことを明らかにする書類が必要です。
対象となるスイッチOTC薬とは、元々医療用医薬品だったものが、安全性が高いと判断されて一般用医薬品になったものです。対象となる医薬品にはパッケージにロゴがつけられる予定だそうです。現在、指定された医薬品は厚生労働省のホームページなどで発表されています。有名なところでは、鎮痛剤の「ロキソニン」、胃腸薬の「ガスター10」、抗アレルギー薬の「エスタック」などです。
この制度ができた背景には、医療費控除の拡大というよりは、市販薬の購入を促進し、国が7割以上を負担する保険医療での医療費を削減しようという部分が大きいようです。身体のことですので、市販薬で済ませることがどこまでいいのかはもちろんケースバイケースですが、せっかくできる制度ですので、使えるところは使っていきたいですね。なお、スイッチOTC薬は、もちろん従来の医療費控除の対象でもあります。年末調整では医療費控除はできませんので、確定申告をお願いします!
すぐわかる!節税のしくみあれこれ
2016/07/05 14:09:23 節税
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基本的な節税の方法、手法というのは限られています。そして基本的に単純でわかりやすいです。そうでないと、対策をした本人が、後で「どうしてこれをしたことが節税になるんだっけ」となることもあります。随時見直しができないようだと結局使い勝手が悪いです。時々、税法の隙間を利用したすごい節税方法を考え出すかしこい人がいます。でもそういったものは法改正で穴を埋められてしまったり、「租税回避」「行為計算の否認」などとしてクロにされてしまったりします。
個人事業の方の場合は、青色申告特別控除+青色事業専従者給与+小規模共済加入、の3点セットが節税の基本です。これを検討せずに他の節税を検討する、というのはありえません。制度を利用して特典を受け、(可能であれば)親族への給与支給で所得を分散し、小規模共済で老後資金を積み立てながら所得控除を取ります。これが法人であれば、役員報酬の支給、法人契約生命保険、倒産防止共済なども絡めていきます。
これらの節税方法がすぐれているのは、お金が外部に流れない点にあります。制度の利用にお金はいりませんし、親族への給与は家計が同じならばトータルのお金は減りませんし、積立金はいずれ自分の手元に戻ってきます。資金流出がある節税よりも資金流出がない節税の方が優れている、というのが基本です(全てではないですが)。交際費をパーッと使っても減税はできますが、お金は出て行ってますし、そもそも経営的にどうなの?ってなりますよね。
もうひとつのポイントは、その節税が減税なのか繰延なのか、という点です。繰延という言葉は、専門家はあたりまえに使っていますが、ちょっとなじみのない言葉ですね。「今年払う税金を来年払うようにする」のが繰延です。先送りですね。税金が減るわけではありません。ただ、来年なら資金に余裕が出る、とか、今期だけ突発的に利益がたくさんでた、という場合には有効です。