令和4年度税制改正
2022/01/04 13:22:40 節税
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昨年12月に令和4年度の税制改正大綱が発表されました。特に気になるものをご紹介させていただきます。
(1)中小企業所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)
給与支給額が増加した場合の税額控除です。この税制は令和3年4月以後開始事業年度から「2年以上継続して雇用していた雇用者への給与額」という制約が外れ、とにかく雇用者への給与支給額が1.5%以上増加した場合に税額控除の対象となっています。給与増加額×15%~25%(法人税額×20%限度)が税額控除額でしたが、令和4年4月以後開始事業年度からこれが拡大され最大で給与増加額×40%まで法人税額・所得税額が控除されるようになります。ただし赤字法人等には引き続き適用がないので、この税制がどこまでコロナ禍での中小企業の賃金上昇に貢献するのか微妙ではあります。
(2)住宅ローン控除の改正
令和4・5年の住宅ローン控除額が借入残高の1%→0.7%に引き下げられ、ただし控除期間は10→13年に拡大されました(認定住宅等以外の場合)。こちらの意味するところは、近年の住宅ローン金利低下により金利が1%未満の場合は支払う金利より控除される税金のほうが大きくなるいわゆる「逆ザヤ」の発生が頻発するようになり、住宅ローンを借りる必要がない人まで逆ザヤをゲットするようになっている流れを抑えるためです。
言い換えればこのような改正がされるほど住宅ローン金利は低下傾向が続いているわけで(低い場合だと0.5%以下のものもあり)、今の住宅ローン金利が高いと思われている方は借り換えの検討をされてもいいと思います。
(3)電子帳簿保存法について
前々回の通信でお知らせした一部データ保存の義務化については、影響の大きさや世間的な対応が間に合わないということもあってか、2年間の経過措置が認められました。つまり、本格施行は令和6年からとなります。財務省や国税庁が一度決定した事項について施行までの経過措置を後で設けるというのは極めて異例のことです。
(4)その他
令和4・5年の住宅資金贈与特例の非課税金額は500万円(耐震住宅等は1,000万円)と一部縮小されました。また貸付用の固定資産取得については10万円未満でも全額算入ができないという特例が加わり、少額なドローンや足場を大量購入してレンタルする、というスキームの節税が塞がれました。
なお、贈与税の基礎控除(年間110万円)の見直し(廃止を含めて)がされるのではないかと言われていましたが、今回は見送られたようです。あくまで今回はですが。
ふるさと納税の証明書が簡素化
2021/11/30 16:41:52 節税
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確定申告時にふるさと納税の控除適用を受けるためには、今までは地方自治体ごとの寄附金受領書を添付しないといけなかったので、寄附回数が多いと書類がたくさんになり集計も大変でしたが、令和3年分の確定申告からは特定事業者から発行された「寄附金控除に関する証明書」(年間寄附額が記載されたもの)を添付すれば良くなりました。
指定された特定事業者は国税庁のホームページに載っていますが、大手のふるさと納税ポータルサイトは概ね登録されています(11月12日時点で14事業者)。楽ちんですのでこちらを活用しましょう(私も楽ちんです(^_^;))。
今年の年末調整の注意点
2020/10/30 19:50:13 節税
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今年はいくつか改正点がありまして、①給与所得控除の金額が変更されています。下限が65万円→55万円になり、上限も195万円で足切りです。また②基礎控除額が変更されて38万円→48万円になり、合計所得金額が2,400万円以上の方は金額が減り、2,500万円以上で0になります。
①と②の関係で、税金上の扶養親族になれるかどうかの判定は、給与収入のみの親族は改正前後で「給与控除+基礎控除」が65万+38万=55万+48万=103万円となるため変わりません。給与収入以外の所得がある方は基礎控除の48万円のみで判定しますので、昨年と異なります。細かい改正のためかえってわかりにくくなっております。
また③所得金額調整控除の創設、④ひとり親控除の措置などもあるため、年末調整時に記入する用紙の3枚めが「基・配・所」という、もはや何の用紙かわからないものになっています。記入不要の方が大多数ですが、ご不明な点は各担当者にお問い合わせください。
増資って何?メリット・デメリットと税務上の注意点
2019/12/02 19:50:29 節税
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最初に会社を設立するときには、その会社の事業の元手として出したお金を資本金として会社に入れます。お金を出した人は株主となり、法律上その会社の所有者となります。増資とは、会社設立後に追加で資本金を増やすことを言います。
大きく見ると、会社の資金調達の種類は2種類しかなく、返さなくていいお金(資本金など=自己資本)と、返さないといけないお金(借入金など=他人資本)に分けられます。資本金が増えるということは、会社にとっては返さなくていいお金が増えることになり、それだけ財務基盤が強化されることになります。増資の方法には、追加で資金を入れる方法(有償増資)以外に、お金を入れないで会計処理上だけで資本金を増やす方法(無償増資)、また無償増資の方法の一つとして、借入金を資本金に組み入れる方法(DESという)などもあります。
増資の時に注意しないといけないのは、知らず知らずのうちに株主間で贈与関係が発生し、贈与税を払わないといけなくなることがあるということです。例えば100株=100万円を株主Aさんが出資して会社を新しく作って、その会社が儲かって1,000万円の利益を出したとします。その後Bさんが、俺にも出資させてくれと、Aさんと同条件で100株=100万円を追加出資したとします。
これでBさんには53万円の贈与税がかかってしまいます(AさんとBさんが親子でないと仮定)。なぜだか分かりますか・・?
Bさんが出資する直前、Aさんの所有する100株は、出資金100万円+利益1,000万円=1,100万円の価値(時価)があります。ここでBさんが出資すると、会社の価値総額は1,100万円+Bさん出資金100万円=1,200万円。この時点で株主はAさん100株、Bさん100株なので、合計200株。AさんとBさんの株式価値はそれぞれ1,200万円×100/200株=600万円になります。
Aさんの株式の価値は1,100万円から600万円に減ってしまいました。一方Bさんは100万円出資しただけなのに600万円の価値を手にしました。これは実質AさんからBさんに500万円の価値が移転したということになり、「実質的に贈与があった」とみなされるからです。そうならないためには、Bさんは100株を1,100万円で取得しなければいけません。
資本金が増えると、法人の納税額にも影響が出ます。ひとつは法人市民税の均等割です。資本金が1,000万円以下ですと年額5~12万円、それ以上1億円以下で13~15万円、1億円超10億円以下で16~40万円、といった具合です(広島市の場合。厳密には資本金「等」で判定)。
また資本金が1億円を超えると、法人税法上(中小企業ではなく)大法人とみなされます。こうなると、軽減税率の不適用、交際費の一部損金不算入、留保金課税、30万円未満の資産の全額損金算入特例の不適用、繰越欠損金の一部使用不可、法人事業税の外形標準課税適用(赤字でも事業税が発生する)など、さまざまな特例措置が使えなくなります。4年前にシャープが経営再建のため1億円にまで減資して中小企業の特例措置の適用を受けようとした(批判が相次いだため取りやめた)くらいですから、この影響はかなり大きいのです!
103万円の壁は崩壊!現状を正確に確認
2019/08/01 20:11:13 節税
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「年収を103万円以内に抑えないと、主人の扶養から外れたら大変・・」奥様がパートで働く場合によく言われるセリフです。現在、これは正しくなくなっています。
「扶養」には2種類あり、その要件が異なります。(1)税金の扶養から外れるのが年収103万円(通勤費除く)以下、(2)社会保険等の扶養から外れるのが130万円(通勤費含む)以下、になります(給与収入のみの場合)。それ自体は変わっていないのですが、(1)には続きがあります。
まず、年収103万円以下の場合は、ご主人は配偶者控除38万円が取れます。これは変わりません。そして103万円を超えた場合、確かに配偶者控除は取れなくなりますが、その替わりに配偶者特別控除が取れます。しかも税制改正により、平成30年以降は年収150万円以下の場合は配偶者特別控除が38万円取れます。つまり奥様の年収150万円までは、ご主人は控除が38万円(変わらず)取れますので、103万円の壁は150万円に替わっていた!と言えます。ただし社会保険等の130万円の壁は変わらず存在します。社会保険等を奥様が別途負担するようになると夫婦の手取り合計が下がりますので、結局130万円の壁は越えてはいけないということになります。
また同時に配偶者特別控除には所得制限が設けられ、ご主人の所得金額が900万円超では配偶者特別控除が減額され、所得金額1,000万円超(給与収入のみの場合、1,220万円超)で控除が受けられなくなりました。
この配偶者特別控除の改正は平成30年からですが、この類の給与・扶養関係の控除を引き下げる動きは近年細かく少しずつ施行されています。さらに令和2年からはこのような改正もあります。
令和2年からの給与所得控除(基本は増税)
→ (1)一律10万円引き下げ
(2)控除を受けられる給与収入の上限を850万円に引き下げ(現行は1,000万円)
(3)控除額の上限を195万円に引き下げ(現行は220万円)
(4)給与収入から850万円を控除した金額の10%を、給与所得から控除(ただし本人または
扶養親族が特別障害者であるか、23歳未満の扶養親族がいる場合のみ)
令和2年からの基礎控除
→ (1)一律10万円引き上げ(ここだけ減税。ただし給与所得控除の(1)で行って来い・・)
(2)所得金額が2,400万円超の人は引き下げ、2,500万円超で0円に
そして上記2つの改正に伴い、扶養親族の合計所得要件を48万円以下(現行38万円以下)に引き上げました。ただし給与所得控除の引き下げがありますので、扶養親族の給与収入の上限は48万円+(65-10)万円=103万円で変わりません(^_^;)
それにしても、基礎控除までいじくるのか~という感じです。ああややこしいなあ(>_<)