税務調査報告2021
2022/04/21 13:23:17 税務調査
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税務署の事務年度は7/1~6/30という締めなので、新しい事務年度が始まって少し経過した秋口から冬にかけてが一番税務調査の多い時期になります。弊社では令和3年秋~冬で4件(全て法人)の税務調査がありました。
今回もそうでしたが、税務調査は終結までの期間が長期化する傾向にあります。税務署内の事務手続きが煩雑になっている、税務署がそもそも人手不足気味、などの税務署内部要因が主な理由だと思われます。人手不足かつ(公務員にしては)離職率が比較的高いためか、税務署内は50代のベテランと20代の入って日が浅い調査官が多く、中間層30代40代が少ない傾向があるようです。複数の調査官にも直接聞いたので間違いないと思います。
最初に20代の調査官が来ても中盤以降の踏み込んだ折衝には調査官が対応しきれず、結局途中から統括官(一般企業の課長クラス)との折衝になっていく、という二度手間感が税務調査を長引かせる原因になりました。今回の4件は1件が是認申告(修正なし)でしたが、あとの3件がこの長期化パターンでした。
令和2年はコロナの影響で税務調査自体があまりありませんでしたが、令和3年からは概ね通常通り行われた感じで、実地調査以外にも書面での接触が増えました。「もう一度申告内容を確認していただき、例えば交際費の中に私的な経費が含まれているようでしたら自主的に修正申告してください」などの内容の書面が届きます。思い当たることがなければ、もちろん「該当なし」と回答するだけなのですが。
それ以外の新傾向として、調査官はパソコンの中を今まで以上にかなり見たがります。「見積書や売上請求書の作成状況を確認したいので、保存しているフォルダを開くところから見せてほしい」「請求書を保存しているフォルダを開いた状態でのモニター画面のスクショを印刷してほしい」「データで持ち帰らせてほしい」などです。データ自体は現状では「保存義務のある帳簿書類」そのものではないので持ち帰りの拒否はできますが、きっと修正履歴などの紙にはない証拠データがほしいのだと思います。電子帳簿保存の一部義務化もこのあたりをにらんでのことと思われます。
あと最近少し気になる点として、「領収書や請求書などが揃っていれば大丈夫」と少し安易に思われている方が多い気がします。調査官は基本的には目の前の書類や会話だけで全て信用することはなく、特に怪しい内容に対しては反面調査(=取引の相手方に行き調べる)をガンガン行います。相手先が県外だろうが出張しますし、無予告で取引先に朝一から張り込むこともあります。質問検査権という強力な国家権利を調査官は持っていますので、この反面調査を止める術は納税者にも税理士にも基本ありません。
(今月も)ウクライナ問題雑感
2022/04/04 16:52:09 経済一般
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この1ヶ月間の私の頭の中は、大学生になり一人暮らしする息子のことと、ウクライナ問題(+頭の片隅にカープ)でいっぱいでした。ですので今回もウクライナ問題の雑感を書かせていただきます。
まず、ウクライナの人道支援をされたい方は、日本ユニセフ協会や国連UNCHR協会へ寄付する方法があります。他にも泉佐野市がふるさと納税扱いで、泉佐野市経由でウクライナ支援金口座へ寄付する窓口を開設しています。探せば他にもあるかもしれません。
さて、ロシアが世界大戦時代の価値観で、時代錯誤の戦争(=人殺し)を継続させています。ソ連時代の軍事大国の栄華を取り戻したいという価値観は日本人には全く理解できませんが、かと言って理解できぬで放っておくこともできない時代になってしまいました。世界を見て見ますとイデオロギー(=歴史的・政治的な立場で構築された思想)で戦争する国、宗教対立で戦争する国、そして戦争で金儲けする国で溢れています。平和に経済活動をして心身ともに豊かに暮らす、というのが私的には理想だと思うのですが、世界には異なる価値観がむしろ大多数を占めているようにすら思ってしまいます。
この度の戦争で、日本の防衛体制はこのままでいいのかという議論が活発化しており、核兵器共有論まで出ています。私的には、このままでいいわけがないと思っています。日本が日本海を挟んで国境を接している国は、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの4カ国です。お隣の4カ国中3カ国が専制国家・独裁国家で、暇さえあればミサイルをぶっ放す国、アメリカから世界の覇権を奪い取りたい国、日本を非友好国と宣言した戦争バッチ来いの国・・。日本は隣人に恵まれていません。それどころかかなりヤバい国に囲まれていると言ってもいいでしょう。
「日本はアメリカが守ってくれるから大丈夫」という意見があります。でもなぜアメリカが守ってくれるのか理解していない方も多いです。アメリカはボランティアで日本を守ってくれるわけでありません。同盟国だからとか、そんな単純な話でもありません。
結局民主主義国家と専制主義国家のイデオロギー対立は冷戦が終わっても消えたわけではなく、アメリカから見ると、特に中国が太平洋に大きく進出してくることは脅威なわけです。世界地図をアメリカ中心に見てみると、中国やロシアを太平洋より手前で食い止める前線ラインが、日本列島と見事に重なっています。逆に中国から見ても、太平洋の手前で日本列島がキレイに覆いかぶさってさぞ目障りなことでしょう。結論を言うと、日本列島は「第三次世界大戦が始まった際の仮想最前線防衛ライン」だからアメリカは日本列島を(自分たちのために)守るのです。守るのは日本列島であって日本人ではありません。アメリカが前線ラインをもっと後ろに下げざるを得なくなれば、アメリカは日本列島を投げ捨てて前線ラインをグアムやハワイ周辺まで下げるでしょう。そうなれば日本列島は現在のウクライナのマウリポリのような立場になるのではないでしょうか。その時日本は自分たちの国を守りきれるでしょうか。
ウクライナ問題(税金の話はナシ)
2022/03/01 18:29:21 経済一般
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連日ロシアのウクライナ侵攻の報道がされています。ロシアとウクライナの歴史的な背景なども調べてみたりしましたが、私的には「領地拡大のために隣の城に攻め込んだ戦国大名」と何の違いもありません。何の正当性も感じないし、戦争は人殺しです。
特にイデオロギーなどを語るつもりはないのですが、この侵攻が経済的にどう影響を与えるのかは気になりますので、いくつか気になった点を取り上げてみたいと思います。
(1)ロシア中央銀行が政策金利を9.5%→20%に引き上げ
日本が0%金利だったりアメリカが1%後半で推移していたりすることを考えると、9.5%も高いですが20%は完全な異常値です。日本のサラ金並の金利を国が銀行からむしり取る感じです。各国の経済制裁等によりルーブル価値が大幅下落(=ルーブルが投げ売りされている)しているので、これくらいの金利をつけないと資金調達できない、ということも意味しています。ロシアは経済制裁は折り込み済らしいですが、それほどの犠牲を払って何のために戦争するのでしょうか。
(2)ロシアの一部銀行をSWIFTから排除
SWIFTとは国際銀行間金融通信協会のことで、多国間の銀行をつなぐネットワークのようなものです。例えば日本からロシアの銀行に送金する時は、広島銀行等からは直接振込できず、ウエスタンユニオンなどの国際送金業者経由で、SWIFTコードなどを使って送金してもらうようになります。
そのSWIFTから排除する、ということは金融インフラを奪うことになりますので、打撃が大きいのは間違いありません(長い目で見て)。一部銀行を排除というのは、全てを排除してしますと、ガソリンや天然ガスをたくさん輸入しているヨーロッパにも影響が大きいからだと思います。
関係ない話ですが、SWIFTを使っての国際送金の手数料が高いことから、リップルなどの仮想通貨を使って国際送金を早く安く行う試みがされています。個人的にはこの点から仮想通貨の将来性を期待していたのですが、思ったほど進んでいないようですね・・。
(3)SNSによる発信
ロシアは自国に自軍の損害状況等のニュースが流れないよう情報統制しているようですが、ウクライナは大統領自らが積極的に被害状況、主張、戦争に正当性がないこと等をSNS等で発信しています。まちがいなく国際世論は大きくウクライナ側に動いています。SNS全盛のこのご時世、たとえ社会主義国であっても完全な情報統制など不可能で、無理やり抑え込もうとするロシアと、積極的に発信・拡散するウクライナ、どちらが有利かは言うまでもないですよね。良くも悪くもSNSの力の大きさが痛感できます。
事業復活支援金の受付開始!
2022/02/01 19:26:23 経済一般
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事業復活支援金の申請受付が1/31の15時より開始されました。皆様の関心が高く、また以前このブログでも取り上げさせていただきましたのでご存知の方も多いとは思いますが、内容を整理していきます。
給付対象は、新型コロナウイルスの影響を受けた(←意外と忘れがち^^;)事業者で、2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高と比較(←つまり、前年or前々年or3年前と比較)して30%以上または50%以上減少した事業者となります。単に売上をずらしたり調整した場合は給付対象外ですよ、とはっきり書かれていますのでご注意ください!給付額は個人・法人の別、及び年間売上高に応じて最大30万円~250万円が1回のみ給付されます。申請期間は2022年1/31から5/31までです。
申請には、登録確認機関の事前確認が必要です(「事前確認」とありますが、入力項目を全て入力後、最後に行ってもOKです)。弊社は登録確認機関の登録をしておりますので、顧問先様でしたら、事前確認のみでしたら無料で行わさせていただきます。申請ID、入力した電話番号、何月を申請対象月にしたか、をお教えください。申請の全てを代行することもできますが、その場合は有料となりますのでご了承ください。
なお、事前確認は以前一時支援金や月次支援金を申請している場合は不要(=スキップできる)です。前回申請時のIDもそのまま使えます。
必要書類ですが、こちらも一時支援金や月次支援金の申請時のものとほぼ同じです。
①法人→履歴事項全部証明書(いわゆる会社謄本)、個人→運転免許証等
②個人確定申告書または法人決算申告書(事業概況説明書含む)2~3年分
③売上台帳
④振込先に指定する通帳
⑤指定された宣誓・同意書
また、地方自治体独自の支援金も開始しており、広島県の場合ですと昨年10月まであった「広島県頑張る中小事業者月次支援金」が再度実施されています(今のところ、今年の1月分と2月分)。給付対象は事業復活支援金とほぼ同じため、事業復活支援金と重複して申請することができそうです(飲食事業者の「感染症拡大防止協力支援金」を受けた事業者を除く)。こちらもご確認ください。
支援金の申請に関して不明な点がありましたら、各担当者までお問い合わせいただければと思います。
令和4年度税制改正
2022/01/04 13:22:40 税制改正
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昨年12月に令和4年度の税制改正大綱が発表されました。特に気になるものをご紹介させていただきます。
(1)中小企業所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)
給与支給額が増加した場合の税額控除です。この税制は令和3年4月以後開始事業年度から「2年以上継続して雇用していた雇用者への給与額」という制約が外れ、とにかく雇用者への給与支給額が1.5%以上増加した場合に税額控除の対象となっています。給与増加額×15%~25%(法人税額×20%限度)が税額控除額でしたが、令和4年4月以後開始事業年度からこれが拡大され最大で給与増加額×40%まで法人税額・所得税額が控除されるようになります。ただし赤字法人等には引き続き適用がないので、この税制がどこまでコロナ禍での中小企業の賃金上昇に貢献するのか微妙ではあります。
(2)住宅ローン控除の改正
令和4・5年の住宅ローン控除額が借入残高の1%→0.7%に引き下げられ、ただし控除期間は10→13年に拡大されました(認定住宅等以外の場合)。こちらの意味するところは、近年の住宅ローン金利低下により金利が1%未満の場合は支払う金利より控除される税金のほうが大きくなるいわゆる「逆ザヤ」の発生が頻発するようになり、住宅ローンを借りる必要がない人まで逆ザヤをゲットするようになっている流れを抑えるためです。
言い換えればこのような改正がされるほど住宅ローン金利は低下傾向が続いているわけで(低い場合だと0.5%以下のものもあり)、今の住宅ローン金利が高いと思われている方は借り換えの検討をされてもいいと思います。
(3)電子帳簿保存法について
前々回の通信でお知らせした一部データ保存の義務化については、影響の大きさや世間的な対応が間に合わないということもあってか、2年間の経過措置が認められました。つまり、本格施行は令和6年からとなります。財務省や国税庁が一度決定した事項について施行までの経過措置を後で設けるというのは極めて異例のことです。
(4)その他
令和4・5年の住宅資金贈与特例の非課税金額は500万円(耐震住宅等は1,000万円)と一部縮小されました。また貸付用の固定資産取得については10万円未満でも全額算入ができないという特例が加わり、少額なドローンや足場を大量購入してレンタルする、というスキームの節税が塞がれました。
なお、贈与税の基礎控除(年間110万円)の見直し(廃止を含めて)がされるのではないかと言われていましたが、今回は見送られたようです。あくまで今回はですが。