なぜ政治資金に税金がかからない??
2024/03/02 16:01:04 経済一般
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政治資金パーティを巡る裏金問題が連日取り沙汰されています。確定申告窓口では「政治家は税金払ってないのに、なぜわしらが払わにゃあいけんのんや!」とのクレームも多いとか。なぜ政治資金には課税されないのでしょうか?
各派閥等の政治団体は法人格は有していませんが、法人税法上「人格のない社団」という区分に取り扱われ、収益事業に限り法人税が課されることになっています。法人税法上の収益事業は34事業に限定されていますので、それらの事業以外はすべて「非収益事業」とみなされて法人税は課税されないことになります。
なお政治資金パーティの利益率は9割程度と言われており、1回あたりのパーティ券収入が1,000万円あったとすると、ホテルの会場費や飲食経費を差し引いても900万円残る計算になります。政治資金パーティは収益事業に該当しない(ここがそもそも「??」)ので、この900万円が政治団体にプールされていても法人税は課税はされません。将来的に政治活動の原資として使われるからだと言う事でしょう・・。また資産の譲渡や役務の提供に該当しない(ここも「??」)ので、消費税も課税されません。
そして今問題になっているのは、各議員がノルマを超えて販売したパーティ券収入が議員個人に「キックバック」されていたことです。例えば政治資金報告書には収入300万円と記載し、残りの700万円が裏金として渡されていたことになります。通常こんなずさんな報告がされないように、登録政治資金監査人として登録された弁護士、公認会計士、税理士が監査を行うはずなのですが、まあ・・機能していないのでしょうね。ちなみに私は登録しておりません。
さらに政治団体からキックバックを受けた議員個人には、本来「雑所得」として所得税住民税が課されるのですが、そもそも政治資金報告書に記載がないのだから収入を受けた事実がわかりにくいですし、わかったとしてもその収入を政治活動経費に使っていれば雑所得の経費になり、収入の全額を経費に使えば雑所得は0円なのでそもそも申告義務もない、ということになります。政治活動経費の内容を示す領収書の保管はされているのかって?・・「秘書に聞いてくれ」。
確定申告上、雑所得の赤字は他の所得と損益通算(=相殺)することができないのですが、1960年代に政治家が次々に赤字の雑所得と自身の給与所得を損益通算させて税金の還付を求める確定申告が相次いだため、それ以後雑所得の赤字の損益通算を認めないように税制改正されたのだとか・・。それ以来政治家に対する税務調査等もほぼ行われていないという話も。・・もはややりたい放題ですね。
新NISAがスタート!さあ何に投資する?
2024/02/01 17:47:08 株式投資
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今年の1月から新NISAが始まり、この1ヶ月の間に日経平均も33,000円から一時37,000円まで駆け上がりました。元々日本株が上昇する要因はいくつかあったのですが(詳しくは令和5年7月号の沢辺通信に書いています。HPからも見れます!)、それに加えてこの新NISA資金流入を期待して欧米の機関資金も入ってきたこと(実際の新NISA資金はまだそこまで入っていない模様)、また景気が悪くなってきた中国への投資資金も日本に流れて来ているようです。
では、私達も乗り遅れないように新NISAを使って投資をして行きたいですが、何を買えばいいでしょうか?特に積立NISA用として人気があるのは、世界中の株式に分散投資している投資信託(オール・カントリー型。略して「オルカン」と言われている)です。個別株は何を買っていいかわからないし、経済成長の地域差はあっても世界全体では経済成長は続いていくでしょう!と思う方にはピッタリです。世界の経済は繋がっているので必ずしもリスク分散にならない部分はありますが、ドルコスト平均法を使って積み立てていくといいと思います(令和5年11月号の沢辺通信も参照して下さい)。それ以外では、特に経済成長が著しいインドの株式で運用している投資信託なども狙い目だと思います。
個別株を買いたい!という方もおられると思います。一般的にはJTやソフトバンクなど、配当利回りが5%前後ある大型株を推奨する記事等が多いですが、配当金以上に株価が下落しては意味がないので、絶対潰れない企業+(緩やかでもいいから)安定成長していて株価も比較的安定+それなりの配当利回り、が見込める銘柄を選びたいです。
その筆頭は、やはり令和5年11月号で取り上げたNTTですが、他にも今なら銀行株も狙い目だと思います。メガバンクは結構値動きが大きめなので、(もともと安値で放置されていた)地銀のほうがNISAには向いている気がします。広島銀行で現在配当利回り3.6%くらいですから、まずまずだと思います。
一昔前なら電力株も狙い目だったと思いますが、現在は原発にかかわるトラブル、コロナ禍での発電コストの上昇など、リスクも小さくない業種になってしまいました。ただコスト上昇は、電気代を値上げしちゃえば吸収できることが今回明らかになりました。成長性は少ないと思いますが、タイミングによってはNISA対象に考えるのもアリではないでしょうか。
今後の市場規模拡大が見込め、地政学リスクから日本国内への工場誘致も相次ぐ半導体関連株が現在株式市場では注目度ダントツですが、値動きがかなり荒く、配当利回りがあまり高くないのでNISAには不向きです。NISAで買った株式で損失が出ても損益通算できませんので、株価が大きく下落するとNISAのデメリットをもろに受けてしまう可能性があります。
なお、これらの内容はあくまで個人的見解を述べているだけであり、売買を指示、推奨しているわけでは一切ありません。投資は自己責任でお願いします!
インボイス制度と電帳法が始まった本当の理由
2024/01/04 15:53:52 経理事務
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年が明けて電子帳簿保存法(以下、電帳法)がスタートしましたが、インボイス制度と電帳法という二大悪法(と私は呼んでいます)はそもそも、なんの目的で始まったのか、ご存知でしょうか?
インボイス制度の建前は、免税事業者が消費税を受け取って納税せず懐に入れる(←もちろん合法)、いわゆる「益税」を無くすために、請求書上で課税/免税事業者であることを明らかにして、課税の公平性を高めるためです。
それ自体はまあ間違ってないのですが、益税を無くすためでしたら免税点(年間売上1,000万円未満)を下げるなり撤廃するなりすれば簡単に済む話です。あえてインボイス制度というややこしくて事務負担の多いものを導入したのは、間違いなく将来の消費税率UPを見越してでしょう。免税事業者に消費税18%を支払って国にも18%を二重払いする事態になれば、その非難の目はむしろ免税事業者の方に行くだろうと。現時点でもインボイス制度の導入により益税だった数千億円の大半は今後国に入ることになります。大掛かりな割に増税額は大したことはないが、本丸は消費税率UPのほうなので、今はこれくらいにしておいてやろう、てな感じでしょうね。
電帳法は、ペーパーレス化による効率的な帳簿保存により、近未来的な洗練された会社経営を実現し、ひいては日本経済のさらなる発展を目指して・・という目的では当然ありません。税務調査をする時に全部書類を探して、紙で持ち帰るのがめんどいからです。ほしい証憑類を検索で全部出させてデータで持ち帰り、署に戻って金額の大きい順に並べ直して調査すれば、それは洗練された税務調査が可能になるよねー。データで保存してなかったらどうするのかって?そりゃあ青色申告取消ですよ。
積極的に電帳法に対応した帳簿保存体制を整えることにより、結果的に洗練されたペーパーレス化を実現することは実際には可能だと思います。ただそれは企業努力の賜物であって、別に電帳法があるおかげではないわけです。
さあ、次は電子帳簿保存法だ!汗
2023/12/01 18:27:56 経理事務
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インボイス制度が始まり2ヶ月が経ちましたが、現場は未だに、いやますます混乱を深めている感すらあります。そんな中2大改悪法のもう1つである電子帳簿保存法が令和6年1月から開始(正確には猶予切れ)されます。
で、結局何をすればいいんじゃ!?という声が大きくなって参りましたので、とりあえず対応が任意のものは置いておいて、対応が義務化されるものを改めて確認したいと思います。
電子保存が義務になるのは、「今までも保存が必要だった領収書、請求書等の会計書類」かつ「電子データでのみやりとりされたもの」になります。それ以外のものは義務対象外です。紙でやりとりされたものは来年以降も何ら変わりはありません。また電子データで保存したものを印刷して紙とダブルで保存されることも問題ありません。時々、電子データで保存が必要なものは印刷することを禁じられている、と勘違いされているケースがありますが、全くそんなことはありません。で、具体的に義務になるデータは下記のようなものが該当します。
(1)ネットバンキングで振込した場合の振込明細書
(2)アマゾン等で買い物した際の領収書
(3)WEB上からダウンロードした①クレジットカード取引明細、②ETC利用明細、③ガソリン
カードの利用明細、④その他業者からの請求書
(4)メール本文で請求等がされた場合の、メール本文そのもの
(5)クラウド上にアップロードして共有することで受け渡しした請求・契約に関するデータ
(6)スマホ決済アプリで決済事業者から発行される明細書データ、またはそのスクショ
大体これくらいで全部だと思うのですが、インボイスもそうですが、実際実務を始めていくと「こんなものもあった」というのが出てきます。随時対応していくしかありませんね。
そして保存の方法ですが、要件が2つあります。①改ざん防止、②可視性の確保です。一番簡単かつ間違いないのは、電帳法対応のクラウドストレージを契約してそこに全て保存する方法です。タイムスタンプを自動付与してくれますし、ストレージ内で検索がかけれるので①②を満たしてくれます。毎月の利用コストがかかりますが、対象データがかなりある場合は仕方ないと思います。
そこまで対象データはないしコストをかけるのはもったいない、という場合は国税庁HPから事務処理規程をダウンロードしてその通り運用する方法があります。この規程はざっくり言いますと、「データ保存責任者を決めて、保存データを修正等する場合は修正内容を履歴として残す」というものです。修正が多い場合、その履歴を全て残すのは結構大変だと思います・・。合わせて保存するPDFのファイル名に「日付・取引先・金額」を規則的に入れて統一することで①②は満たせます。
それもできな~い!という方は、ひとまず月ごとにフォルダを作って、とりあえずそこに全てデータを入れておいてください!バックアップは定期的にして下さいね。
新NISAも始まるので、投資について考える
2023/11/01 16:53:18 株式投資
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以前も取り上げましたが、令和6年1月よりNISA制度の改正があります。投資枠が2~3倍程度、非課税期間が無期限になり、特に長期投資に有利になりました。かなり税制上の優遇をするから、老後資金は自分で運用してくれという国の意図がはっきり見えます。
最近では株式でも配当利回りが5%を超えるような銘柄も散見されますので、これらの配当を無税で受け取り、将来的に値上がりした元本も無税で換金できれば文句なし!ですが、長期投資で株式や投資信託を購入するからには値下がりリスクも当然発生します。その長期投資リスクをなるべく軽減するためによく言われるのが「分散投資」です。
分散投資だ!ということで世界各国の投資信託等を少しづつ購入する方もおられますが、これはおすすめできません。世界経済は繋がっており、どこかで暴落が起きれば他の場所でも影響が波及して暴落するのが常です。「地域分散」の考え方では、すべてが同時にコケるので結局リスクヘッジにならないのです。
ですので、分散を考えるなら「時間分散」、つまり購入する日時を分散してリスクを軽減するのが正しいです。「ドルコスト平均法」はまさにこの考え方で、暴落があった時期には同じ資金でより多くの株式等を取得できるので、平均取得単価を下げることに繋がります。
個別の株式に目を向けますと、新NISAを意識して、安定した個人株主を増やしたいという動きが増えています。例えばNTTは今年7月に1株→25株へ株式分割を行い、1単元(=100株)を18,000円前後で買えるようにしました。この金額でしたら、毎月予算に合わせて数万円ずつ積み立て感覚で株式の買い増しができます。NTTは将来的に日本政府が株式を売却していく方向で議論されていますが、国外事業展開をしやすくするため、という噂もあります。そうなると将来性も高く、安定した成長と配当、かつ絶対潰れないであろう企業ということでNISAには最適な銘柄だと思います(購入は自己責任でお願いします!)。