インボイス制度のせいで電気代値上げ
2023/04/03 15:41:09 経済一般
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今年10月より導入されるインボイス制度。事業者が登録申請することで、今まで消費税の免税事業者であった者までが消費税の納税義務を負うことになり、増税の影響を受けるわけですが、インボイス制度の影響はそんな直接的なものばかりではありません。一例を挙げますと、インボイス制度のせいで電気代が今後値上げされます。
現在家庭の太陽光発電システムなどで発電した電気は、電力会社が買い取ることが義務付けられています。電力会社からするとこの買い取りは仕入れになり、その電力を販売(企業や一般家庭に送電)します。
電力会社が買い取る電気は一般家庭からが多く、そのうち大半はサラリーマン等の家庭であり事業者でないため、インボイスの登録をしていません。そのため電力会社は10月以降買い取った電力代金の大半につき仕入税額控除ができないので、消費税の納税負担が増加することになります。
まあこんなことは電力会社に限ったことではなく、多くの業種でこのような税負担増加が生じるのですが、なんと資源エネルギー庁はその税負担を電気代値上げで穴埋めする方針だと発表しました。
要するに国はインフレ対策をするわけでもなく、景気浮揚策を講じるでもなく、増税とインフレ誘発のダブルパンチで、国民から搾り取れるだけ搾り取ろうというわけです。ただでさえインボイス制度自体が大がかりの割に対した制度設計のされていない愚策なのに、制度導入により派生的に生じるインフレ影響も読めないという無能ぶりをいかんなく発揮したことになりますね。よその国なら、反対派に国会を襲撃されてもおかしくないと私は思いますが、まあ日本は平和でよかったですね・・。
税制改正大綱の行方と、久しぶりにカープについて
2022/12/01 15:37:28 経済一般
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最近悪い意味で話題のインボイス制度ですが、令和5年度の税制改正大綱に「激変緩和措置」を盛り込むようです。フリーランス等の税負担が急に増えることを防ぐために、売上高1,000万円以下の事業者がインボイスを発行する課税事業者になる場合、3年間は納税額を「売上税額の2割に軽減」するとのことで、小手先の非難を回避しながら意地でもインボイス制度は開始するつもりのようです。
同様にお騒がせの電子帳簿保存ですが、こちらも来年末の猶予期間終了後も紙での保存を引き続き認める方向で調整されているとのことで、いかにこの制度が見切り発車であったか良くわかります。
なお令和5年度税制改正大綱には、いよいよ暦年課税制度の生前贈与の加算期間(現行:相続開始前3年以内)の見直しにも触れそうです。おそらく10年前くらいまでの贈与は、相続財産に含めて相続税を計算するような改正になると思われます。
ここからは久しぶりにカープについてです。この3年間、優勝できる戦力を有しているのになぜ、と歯がゆい思いをされていたカープファンの皆様(と私)にとって、来年に向けての補強は、例年になく適切な補強を行っているのではないでしょうか。
まず監督は、みんな大好き新井さんです。コーチ経験もないのにいきなり監督で大丈夫か、との声もありますが、コーチを経験してるから監督采配のスキルが上がるわけではないのはもう皆様御存知のはずで・・。新井さんなら負けても納得がいく、と球場へ足を運ぶファンの数も来年は増えることでしょう。
・・からの黒田さんのアドバイザー就任です。投手コーチにしてしまうと防御率が落ちた時に責任問題になりますが、アドバイザーですから黒田さんは責任を取る必要がありません(私見)。数年後もずっと黒田さんが見れるわけで、ある意味永久欠番みたいな感じですね。
そして盗塁数激減に対する補強としてすぐに福地コーチを読んだのもいいですね。ヘッドコーチや打撃コーチもいち早く外部から招聘し(お友達と身内ですけど)、チームとして穴になっている部分を重点的にカバーする意図がはっきりわかります。選手にしても、坂倉選手を捕手専念に戻して、チームとして穴のポジションになりつつあったキャッチャーの部分をしっかり固定することができそうです。私的には今年くらいから「カープは坂倉中心のチームになりそう」と思っていたので嬉しいです。空いた3塁は、伸びてこない林君に変わって外国人選手で補強です。マクブルームも来年は「歴代最強助っ人」と呼ばれるような活躍を期待です。
気になるのは森下くんと床田くんが開幕に間に合うのかと、ユニフォームがダサいこと位ですかね。来年が楽しみです!
今月のトピックスと、半導体についても少し
2022/11/01 15:53:58 経済一般
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まず最初に、最近決定した気になるニュースを箇条書きでお知らせします。
(1)前々回取り上げました「収入300万円以下は一律で雑所得扱い」への改正は見送りとなりました。帳簿書類の保存を要件に、300万円以下でも事業所得として取り扱えることになりました。ただ逆に言いますと、帳簿書類を整備しておかないと300万円以上でも青色申告等ができない可能性があることになります。なお個人の取り扱いですので法人には関係ありません。
(2)国税のPayPayやd払いでの納付が令和4年12月から可能になります。12/1に国税庁がスマホ決済専用サイトを立ち上げるので詳細はまだ明らかではありませんが、クレジットカード払いのような手数料は不要のようです。ただし利用上限は30万円なので資金繰りを考えた高額決済はできません。
(3)前回、給与計算に関連する改正点を取り上げましたが、それ以外にも令和5年4月より中小企業にも月60時間超の残業代の割増率の引き上げ(25%→50%)が義務化される、また時間外労働の上限規制が段階的に施行される(令和6年4月より建設業等も対象に)など、労務管理も複雑さを増してきます。社会保険労務士などの専門家の手助けも受けることも今後は重要になってきます。
ウクライナ戦争では、ロシアの敗色が濃厚になっているようです。欧米が課しているロシアへの経済制裁は、ロシアは天然ガス等を中国やインドに輸出して外貨を稼げるから意味がない、みたいな意見があります。それ自体はその通りでしょうが本丸はそこではなく、高性能な半導体が欧米から入らないことで「ロシアは新たな武器が作れない」ことに最大の意義があります。おそらくもうロシアには大規模な反撃をするような武器の在庫も生産能力もなく、戦局は覆らないと思います。21世紀の兵糧攻めは米ではなく、半導体を断つのです。
また自動車産業でも、今後は自動運転や電気自動車(EV)普及のため、今まで以上に半導体が必要になります。私見ですが、EVの普及は環境問題・SDGsを考慮して、というのは表の顔で、裏の顔はガソリン車から電気自動車という別物の製品に入れ替わる過程で、アメリカ・日本・ドイツ等が強い自動車産業の勢力地図を中国やイギリス等が一気に塗り替えたいという思惑があるのだと思います。つまり10-20年後の自動車業界を支配したいのでしょう。ここを見誤ると数少ない日本が世界で戦える分野の自動車産業で、日本がかつて半導体シェアを奪われた時の二の舞いになりかねないと思います。
10月から給与計算に影響するあれこれ
2022/10/01 17:29:15 経済一般
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令和4年10月より給与計算に影響する変更・改定が結構あります。まず雇用調整助成金の支給で国庫の蓄えが少なくなってきたのでしょう、雇用保険料率が上がります。今年4月に一旦事業主負担のみが増えましたが、今年10月からは労働者負担の雇用保険料率も1000分の3→1000分の5に増えます(建設業等は1000分の4→1000分の6)。事業主負担も同時に、再度増えます。
社会保険関係では、保険料は変わりませんが、社会保険の対象になる労働者の拡大があります。社会保険に加入する義務のある労働者は原則として週30時間以上働く方でしたが、2016年10月からは従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方も対象に加わっていました。これが今年10月からは501人以上→101人以上に改定されます(2024年10月からはさらに「51人以上」に改定予定)。
ただし加入要件は週20時間以上だけではなく、①雇用期間が1年以上見込まれる、②賃金月額が8.8万円以上、③学生でないこと、の全てを満たす場合になります。ここで②に注目していただきたいのですが、月8.8万円×12ヶ月≒年収106万円になります。つまり従業員101人以上の会社でアルバイト・パートしている扶養者がご主人等の社会保険の扶養に入るためには年収を106万円未満に抑えないといけません。130万円の壁が106万円の壁に変わりますので、注意して下さい。
また、10月からは最低賃金の改定もあり、全国平均で時給930円→961円に増額されます。広島県では899円→930円になります。私が四半世紀前の大学生の時はたしか最低賃金が645円で、時給650円でアルバイトしていました。それから比べると最低賃金もかなり上がったような気もしますが、世界ベースで見ると日本は賃金の上昇率が低い(確か先進国の中ではほぼ最下位)です。
ここから話はそれますが、最近では中国に仕事を外注したり中国に工場を造ったりするよりも日本国内で外注や工場建設するほうがコストが抑えられるケースが結構あるらしく、中国の賃金は上がり日本の賃金は上がらないことが続き、とうとう逆転現象が起こるまでになったのです。さらに円安が今後も続くでしょうから、これからは日本国内にどんどん工場を建てて輸出したほうが価格競争力が維持できて、政局不安やテロ・戦争の不安のある国より安全です。日本のGDPも増加し、景気・雇用も良くなります。世界中で半導体工場建設ラッシュになっていますが、実際に日本国内でも半導体工場建設の動きが活発で、半導体受注生産最大手の台湾TSMCが熊本県に新工場を設立するなどのニュースもあります。
半導体を制する国が世界の経済、さらに軍事をも制する時代になりつつありますから、この意味は大きいです(半導体については後日もっと詳しく書かせてもらいます)。ロシアは強かったころのソ連を遠い目で懐かしんで馬鹿げた戦争を続けていますが、中国の台湾侵攻はそんな理由ではなく、台湾の半導体技術を手中に収めてアメリカから世界の覇権を奪う、という極めて現実主義的な理由によって動いている気がしてなりません。
インフレに向かう今後をどう立ち回るべきか
2022/07/01 17:56:49 経済一般
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日本を含め世界中で急激なインフレ(物価上昇)が起こっています。日本でも最近食料品などの値上げが相次いでニュースになっており、将来の生活の不安を感じさせます。
もともとインフレは悪いものではありません。むしろ景気が良くなったことのサインである場合も多く、景気が良くなる→企業の業績が上がる→給与が上がる→購買意欲が上がる→消費が拡大し、需要が増える→モノが不足したり高くても買いたい人が増えるためモノの値段が上がる→企業が設備投資や雇用をして供給を増やす→景気が良くなる、という好循環を繰り返していくのが良いインフレです。日本の高度成長期などは、まさにこの典型です。
ところが今回のインフレは、コロナで経済が停滞する→個人や企業を救済するために政府がお金をどんどん刷る→お金が出回り過ぎてお金の価値が下がる→コロナが落ち着き出したので、購買意欲が戻ってくる→もともとコロナの影響を受けていなくてお金を溜め込んでいた人が高価なモノを買い漁る→一部のモノは高くても売れるので値段が上がる→コロナによるサプライチェーン分断や戦争の影響で在庫不足になっているものもつられて価格が上がる→コロナの影響を受けていた人を中心に購買意欲が下がる、という感じでしょうか。最悪の場合、スタグフレーション(景気が悪くなっていってるのに物価が上がっていく)になることもあり得ます。もちろんインフレが適正なところで落ち着き、景気が良くなっていく可能性もあります。良いインフレと悪いインフレの違いは、賃金が上がるか否かにかかってきます。
さてそんなご時世、私たち事業者がどのように立ち回っていくべきかですが、まずはキャッシュの確保です。コロナ融資等を受けて手元資金はまだ不安がない方も多いと思いますが、利子補給は3年間なので、コロナ初期に受けた融資は来年から実質利払いが始まります。また元本据え置きは1~5年間ですので、据え置き終了後の資金繰りは今から考えておかないといけません。企業にとってキャッシュはドラクエのHPと同じです(わからない方はすみません)。これが0になると、他にいくら設備・人材・販路があっても、決算が黒字でも、ジ・エンドです。キャッシュ・イズ・キングです。こだわりすぎると投資・成長機会を失う場合もあるのですが、まずはこれを第一にしていただきたいです。
あとは皆さん肌で感じられていると思いますが、コロナ以後は需要のあり方が大きく変化しています。それは巣ごもりによる消費の仕方や嗜好の変化だったり、サプライチェーンの分断による供給経路や供給バランスの変化だったりするのですが、需要の変わっていく部分と、変わらない部分の両方を見極めて商品展開などの供給を行っていく必要があると思います。
ちょっと抽象的ですが、変わらない部分とはいつの時代でも求められるもの、例えば人の温もりだったり、社会への貢献だったりします。その部分を忘れて需要の変化だけ追いかけ回しちゃうと、いきなりタピオカ屋を初めて失敗するようなハメになります。