ビットコインの新しいムーブメント
暗号資産のビットコインが誕生して10年以上がたちます。今や「デジタルゴールド」として株式等を含む時価総額ランキングでも世界10位以内に入るほどの巨大な市場となっており、ビットコインを作ったサトシ・ナカモト氏も世界10位の大富豪になる計算だとか。
そんなビットコインは2024年ころから再び大きく盛り上がり、価格上昇をしております。主な要因は、アメリカのトランプ大統領がビットコインに肯定的な政策を行うだろうという思惑が大きいからです。トランプ大統領自身も今は(不動産王ではなく)資産の4割が暗号資産関連の可能性がある、という話もありますので、なおさらかもしれません。
ところで今年に入って日本の株式市場でもビットコインに関連した新しいムーブメントがあるのをご存知でしょうか。その象徴としてメタプラネット(証券コード3350)という会社があります。この会社は元々東京でホテル1店を細々と経営しており、2024年の春くらいまで株価は10円くらいでしたが、「これからビットコインのトレジャリー企業になります」と宣言しそれを実行したことで、株価は今年の6月には2,000円近くにまで上昇しました(2025年7月31日終値では1,151円)。
トレジャリー企業って何?と思われるでしょうが、ざっくり言うと「資金調達してビットコインを買いまくります。そしてビットコインの値上がりで儲けます」ということです。つまり事業内容をビットコインに全振りしたわけです。ビットコインがコケたら全てが終わる、という大ギャンブルにしか私は思えませんが、結果としてビットコインは大きく上昇し、今に至るというわけです。
2025年7月31日時点でメタプラネットは17,132BTCを所有しています(会社計画では2027年末までに210,000BTCまで買い集めるとのこと)。円換算すると3,000億円くらいになりますが、恐ろしいことにメタプラネットの時価総額は7,500億円くらいあります。何が恐ろしいかと言うと、ほぼビットコインを買うだけの企業なので会社の時価総額もビットコインの価値と同じくらいの3,000億円程度でないと辻褄が合わないと思うのですが、実際にはその差が4,500億円もあり、ビットコイン価値の2.5倍の時価総額があるわけです。今年の春~6月くらいには6倍とか、もっと差が広がっていた記憶がありますので、これってもうバブルとしか説明がつかないと思います。この株式が最近ではNISA人気第1位の銘柄ですよ。大丈夫ですか??
あえて他にこの株価を合理的に説明しようとすれば、暗号資産で利益が出た場合の税制が考えられます。株式の譲渡益の税率は一律20%なのに対し、暗号資産の利益は累進課税なので15~55%が課されます(所得税+住民税。簡略化のため復興税は除く)。そのためメタプラネット株を買うことで、実質ビットコインを買ったのと同じようなものなのに税率が低くなるという部分に対してプレミアムがついているものと思われます。ただ最近は暗号資産も申告分離課税に改正するための動きが活発化しています。税制の差がなくなってしまうとこのプレミアムは剥がれ落ちると思います。とにかくNISAで買うのだけはやめましょう!
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