「消費税1%」の議論に、日本の悪い点が凝縮
2026/06/01 17:06:26 税制改正
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選挙後にしばらく音沙汰のなかった飲食料品の消費税減税ですが、最近になって「令和9年4月~令和11年3月に限定して8%→1%に引き下げ」という話が出てきました。その経済的効果や税収へのインパクトはさておき、「0%だとレジのシステム改修に1年程度かかるから、0%でなく1%にする案が有力になった」という部分が個人的にはすごく引っかかりました。
消費税率の変更だけでシステム改修に1年?日本ってどれだけIT後進国なのよ、って思いませんか?本部のサーバーの設定をポチッと変えれば、10秒くらいで全国全てのレジの設定が完了するんじゃないの?どうなってんのよ??
もともと日本の消費税にも0%という概念は存在します。それは輸出です。日本の消費税は「日本国内での資産の譲渡につき課税される」税金のため、国外に輸出した商品などの売上にかかる消費税は0%になります(輸出免税と言います)。ただ「国外で販売した場合」というシチュエーションなので、それをレジで打つ、という場面は基本的にありません。なのでレジの基本的な概念として0%が想定されていないのです。そのため、レジのシステムの根幹の計算プログラムを書き換えないといけなくなります。
またこの輸出免税もそうですが、もし飲食料品の消費税が0%になった場合も、これは「0%課税売上」であり、「非課税売上」「消費税対象外売上」とは消費税申告時の意味合いが全く異なる(詳細は割愛しますが)ので、0%だからレジでの消費税を無視しちゃえばいいじゃん、というわけにもいかないです。令和最大の改悪であるインボイス制度もからむので、なおさらややこしいのです。
なるほど、その点1%にするなら、10%と8%に1%を付け加えるだけなので、10秒くらいで設定が完了するわけですね。政府案には「1%への改定ならレジのシステム改修は3~6ヶ月で済む」とあります。
ん?3~6ヶ月??待て待て、1%こそ設定をポチッと変えればさすがに完了するだろうよ!ところが、日本の個人の飲食店や地方のスーパーなどでは、ネットに繋がっていないレジ、使い切りのPOSレジなどが現役で大量に動いているのです。それを業者が1軒ずつ店舗を回って機器を入れ替えたり手作業でアップデートや設定変更したりしたら・・。なるほど、確かに3~6ヶ月かかりますな・・。
結局何が悪いかって、日本の消費税の仕組みがツギハギだらけの複雑怪奇な体系になってしまってるからです(レジのシステムもだけど)。こんなシステムしか構築できない日本なんだから、そりゃあマイナンバーだって他国と違って使えないものになるよね・・。日本が世界に誇れる技術や文化はたくさんあって、それは日本人としての誇りでもあるのですが、こと消費税のシステムに関してはホコリかぶってるなあ、と思っちゃいました。
令和8年度税制改正大綱の内容を解説!
2026/01/05 18:10:18 税制改正
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令和8年度の税制改正大綱が令和7年12月26日に閣議決定されました。早速121ページある大綱から気になったものをピックアップしていきます。
(1)年収の壁と扶養控除範囲の見直し
「年収の壁」とはいくらまでの収入なら所得税がかからないかというラインのことで、給与収入のみの場合の金額が令和7年から103万円→160万円に改正されていました。これが令和8年から178万円に再度改正されます。基礎控除の最大額が95万円から104万円に、給与所得控除の最低保証額が65万円から74万円に改正されたため、104+74=178万円に年収の壁が変わりました(ただし令和10年以降はまた見直される予定)。なおこの年収の壁はあくまで所得税に関してなので、住民税は108万円からかかります。
またこの年収の壁はあくまで「本人に」所得税がかからないラインなので、178万円までなら税金上の扶養に入れるという意味ではありません。扶養に入れるのは給与収入の場合、基礎控除(本則)62万円+給与所得控除(特例を除く金額)69万円=131万円まで(令和7年は123万円まで、それ以前は103万円まで)です。社会保険の扶養判定も130万円ですので、ざっくりと「税金も社会保険も130万円まで」を目安に考えてもいいでしょう。
(2)暗号資産の課税見直し
暗号資産への課税が20%申告分離課税になります(金商法改正の翌年1月1日から)。現状の総合課税では最大55%課税されるため利益確定をためらっていた方も多いと思われますが、今後は上場株式と同様の課税になる(3年間の損失繰越控除も使える)ため、より取引しやすくなったと言えます。
ただし特定口座の制度はないので、源泉徴収はされないため今後も必ず確定申告は必要になります。また確定ではありませんが、国外転出時課税の対象になる(対象資産を1億円以上所有していた場合(売却していなくても)出国時に含み益に対して課税される)、国外取引所で取引したものは分離課税の対象から外される、という内容がセットになる可能性が高いです。
(3)免税事業者からの仕入税額控除の特例の改正(インボイス関連)
免税事業者に支払った経費につき消費税部分の80%を控除できる特例が令和8年9月で終わりますが、その後の特例スケジュールが変更になり、令和10年9月まで70%控除、令和12年9月まで50%控除、令和13年9月まで30%控除となりました(改正前は令和11年9月まで50%控除のみ)。また元免税事業者の納税額を軽減するいわゆる「2割特例」についても令和8年9月で終わりますが、その後令和10年9月まで「3割特例」が追加されます。
(4)少額減価償却資産の特例の改正
青色事業者が全額減価償却費で落とせる固定資産の額が30万円→40万円未満に。ただし年間合計300万円までが上限、という要件はそのままです。大綱には明記されていませんが、おそらく令和8年4月から適用されると思われます。
ややこしすぎる!所得税の基礎控除の改正
2025/07/01 16:55:05 税制改正
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所得税の基礎控除が令和7年より改正されます。が、施行は令和7年12月1日となっており、「今年はとりあえず今までどおり計算して、年末調整や確定申告で全部つじつま合わせてね」という摩訶不思議なことになりました。その改正の内容ですが、当初は一律48万円→58万円になるという話でしたが、最終的には合計所得金額132万円以下の場合で95万円、それ以上の場合で58万円+令和7・8年分の上乗せ金額あり、という形になりました。
同時に給与所得控除の最低額も55万円から65万円に改正されましたので、収入が給与だけの場合は基礎控除95万円+給与所得控除65万円=年収160万円までは所得税がかからないということになります。なお住民税の基礎控除は改正されませんので、住民税はかかります。
また税金上の扶養に入れる所得の要件も、基礎控除に合わせて合計所得金額48万円→58万円と改正されています。ところがこれは最大95万円までの上乗せはないので、給与収入のみの場合、基礎控除58万円+給与所得控除65万円=年収123万円までが税金上の扶養に入れる要件となります。年収123万円~160万円の場合、本人に所得税はかからないけど税金の扶養にも入れない、という状態になります。気を付けてください。
なお103万円の壁は123万円まで後退しましたが、社会保険上の扶養の壁である106万円や130万円は何ら変わりませんので、引き続きこれらの壁は意識していく必要があります。
毎月の給与から天引きする源泉徴収税額を変更するのは令和8年1月からになります。基礎控除等の変更に伴い金額が変更されますが、特定扶養親族(19~22歳までの扶養親族)の所得控除の改正もあったため、大学生の子をもつ方の扶養人数のカウント基準も変更(年間給与収入165万円まではカウント可)されています。ご注意ください。
新NISAと暦年贈与の改正を解説!
2023/01/05 16:03:27 税制改正
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令和4年12月16日に令和5年度税制改正大綱が発表されました。今回の目玉は2つありまして、「新NISA」と「暦年贈与の見直し」です。
まずNISAですが、令和6年1月より制度変更されます。年間投資枠が大幅に増加しまして、一般NISA(「成長投資枠」に名称変更)が120万円→240万円に、つみたてNISA(「つみたて投資枠」に名称変更)が40万円→120万円になります。しかも今までは一般分と積立分のどちらかしか選べなかったのが、どちらも併用することができるため、5年間の非課税限度額の枠が600~800万円→1,800万円と、かなり増えました。
もうひとつの大きな変化は、非課税枠が繰り返し何度でも使える点です。今までは、例えば1月に枠いっぱい120万円で株式を購入し、2月に売却したとすると、この120万円の枠はその年はもう使えませんでした。改正後のNISAは何度でも使えますので、その後また3月に購入→4月に売却→5月に購入、などと繰り返し使うことができます。
※令和6年1月追記・・NISAの非課税枠を使って取得した株式等を売却した場合、その非課税枠が復活するのは翌年に入ってからになります。
この新NISAは、かなり使えると思います。1,800万円というかなり大きい資金を非課税でガッツリ運用できるわけですし、枠が繰り返し使えるので相場に応じて銘柄入れ替えを流動的に行うことができ、短期売買にも使えることになります。ただし現行NISAもそうですが、NISA枠で買った株式を売却して損が出た際にその損失を一般購入分の利益と相殺できないというデメリットは残ったままです。あまり語られないですがこのデメリットは結構大きいので、配慮した上で利用する必要があります。
また暦年贈与の見直しですが、今までは相続開始3年前までに贈与された財産は、相続税の計算時にもう一度入れ直して計算されていましたが、令和6年1月以降これが「7年」に改正され、つまり7年前までの生前贈与は無効になります(一定期間内は3~7年前の贈与分が最大100万円までは有効)。もちろんそれ以前の贈与や相続人以外(例えば孫など)への贈与は有効ですので、全ての生前贈与の意味がなくなるわけではありませんが、より長期計画での相続対策が必要になってきます。
ただそれだけだと若い世代への財産移転がますます滞るじゃないか、ということで、相続時精算課税につき基礎控除が認められることになりました。相続時精算課税は2,500万円までの一定の生前贈与には贈与税を課さないで相続税で精算する制度ですが、一度使うと年間110万円の贈与税非課税枠が一切使えなくなっていました。これが使えるようになり、かつ無効になる生前贈与の額は基礎控除を引いた後の金額でいい(←結構重要です)と改正されたので、相続時精算課税を利用したほうが有利になるケースも増えてくると思います。
最後に、防衛費捻出のため令和6年以降のどこかで法人税4~4.5%、所得税1%を増税すると発表しています。やむを得ないと考えるか、冗談じゃない!か、賛否両論ありそうですね。
令和4年度税制改正
2022/01/04 13:22:40 税制改正
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昨年12月に令和4年度の税制改正大綱が発表されました。特に気になるものをご紹介させていただきます。
(1)中小企業所得拡大促進税制(賃上げ促進税制)
給与支給額が増加した場合の税額控除です。この税制は令和3年4月以後開始事業年度から「2年以上継続して雇用していた雇用者への給与額」という制約が外れ、とにかく雇用者への給与支給額が1.5%以上増加した場合に税額控除の対象となっています。給与増加額×15%~25%(法人税額×20%限度)が税額控除額でしたが、令和4年4月以後開始事業年度からこれが拡大され最大で給与増加額×40%まで法人税額・所得税額が控除されるようになります。ただし赤字法人等には引き続き適用がないので、この税制がどこまでコロナ禍での中小企業の賃金上昇に貢献するのか微妙ではあります。
(2)住宅ローン控除の改正
令和4・5年の住宅ローン控除額が借入残高の1%→0.7%に引き下げられ、ただし控除期間は10→13年に拡大されました(認定住宅等以外の場合)。こちらの意味するところは、近年の住宅ローン金利低下により金利が1%未満の場合は支払う金利より控除される税金のほうが大きくなるいわゆる「逆ザヤ」の発生が頻発するようになり、住宅ローンを借りる必要がない人まで逆ザヤをゲットするようになっている流れを抑えるためです。
言い換えればこのような改正がされるほど住宅ローン金利は低下傾向が続いているわけで(低い場合だと0.5%以下のものもあり)、今の住宅ローン金利が高いと思われている方は借り換えの検討をされてもいいと思います。
(3)電子帳簿保存法について
前々回の通信でお知らせした一部データ保存の義務化については、影響の大きさや世間的な対応が間に合わないということもあってか、2年間の経過措置が認められました。つまり、本格施行は令和6年からとなります。財務省や国税庁が一度決定した事項について施行までの経過措置を後で設けるというのは極めて異例のことです。
(4)その他
令和4・5年の住宅資金贈与特例の非課税金額は500万円(耐震住宅等は1,000万円)と一部縮小されました。また貸付用の固定資産取得については10万円未満でも全額算入ができないという特例が加わり、少額なドローンや足場を大量購入してレンタルする、というスキームの節税が塞がれました。
なお、贈与税の基礎控除(年間110万円)の見直し(廃止を含めて)がされるのではないかと言われていましたが、今回は見送られたようです。あくまで今回はですが。