令和2年度確定申告の注意点
2021/02/04 18:09:14 決算書
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今年も確定申告の時期がやって参りました。コロナ禍が続いておりまして、今回も昨年と同様に申告期限が令和3年4月15日まで延長されております。伴いまして、振替納税日も申告所得税が5/31、消費税が5/24と後ろ倒しになっています。
今回は混雑緩和のために確定申告会場への入場は入場整理券が必要になります。整理券は当日配布を受けるか、国税庁公式LINEからも取得できるようです。当日配布だと混雑具合によっては後日に回される可能性もありますので、LINEでの取得のほうが間違いなさそうです。またご自身で確定申告書が最後まで作成出来る方は、パソコンかスマートフォンで国税庁ホームページにアクセスして、来場せずに申告を終えてしまいましょう。
今回の税務的な改正点ですが、まず基礎控除が見直されています。基本的には38万円→48万円に引き上げられていますので減税となりますが、給与所得者は給与所得控除が10万円引き下げられていますので、結果トントンとなります。また合計所得金額が2,400万円以上の方は金額が段階的に引き下げられ、合計所得金額が2,500万円の方は基礎控除が0になります。ここは増税ですね。
次に給与所得控除です。基本的に10万円引き下げられたのは前述の通りですが、それ以外に給与所得控除の限度額も引き下げられていて、給与収入850万円以上の方は195万円で頭打ちです(増税)。ただ給与収入850万円以上の方で23歳未満の扶養親族がいるか、本人または扶養親族が特別障害者の場合は所得金額調整控除という、増税部分の一定の緩和があります。
また、公的年金等の控除額も見直されています(一部増税)。
3番めに、青色申告特別控除額です。今までは10万円と65万円がありましたが、65万円適用の方で電子申告と電子帳簿保存のいずれもされていない場合は55万円に減額されます。
それ以外には、ひとり親控除の創設(=寡婦控除、寡夫控除の見直し)、扶養要件の変更(基礎控除の変更に伴い、合計所得金額48万円までの扶養者に対しては配偶者控除、扶養控除が適用できる)があります。
今回は細かい改正点が多く、細かいだけに計算間違いしやすいと思いますので、注意が必要です。
確定申告しないほうがいい人、したほうがいい人
2020/02/03 18:02:54 決算書
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今年も確定申告の時期が近づいて参りました。今回は、そもそも確定申告って何なの?誰がしないといけないの?というところからお話させていただきます。
法律的には「確定申告」という用語は法人の決算にもあてはまるのですが、一般的には確定申告といえば個人の申告です。毎年3月15日までに、個人の前年1年間に得た全ての所得を合算して、所得税額を税務署に自己申告して納めます。住民税や事業税、国民健康保険料などもその申告をもとに自治体が計算します。
ただし1か所からの給与収入しかない方は、会社が年末調整をしてくれます。これは確定申告を会社が代わりにやってくれるようなもので、この方は確定申告の義務はありません。
個人で商売をされている方や、賃貸不動産のオーナーなどは確定申告をしないといけない、というのはわかると思いますが、中には微妙なケースも出てきます。例えば、会社勤めで基本的には1か所からの給与収入なんだけど、他に少し副収入もある、という場合です。どのくらい副収入があれば確定申告しないといけないのかご存じですか?
所得税法の規定では、「メインの給与以外の給与収入」+「給与・退職金以外の所得」が20万円を超えると確定申告をしなければならないとされています。例えば副収入が18万円の給与収入のみなら確定申告をしなくていいし、給与収入が25万円ならしないといけません。また、個人年金収入が120万円あっても所得換算で18万円なら確定申告をしなくていいし、会社に内緒でこっそりやってるネット販売事業の売上が300万円あっても経費を差し引いたら利益(所得)が15万円だ、という方も確定申告不要です。下線部の「収入」と「所得」は、このような違いが出てくるので注意が必要です。ほんとは確定申告しなくていいのに、してしまった結果追加の所得税が出たら、それは納めないといけなくなりますので。
ところで、確定申告をしなくていいことが分かったから、はい確定申告さようなら、と言うのは少し早いです。確定申告の義務はないが、あえてすることで税金の還付や、住民税の軽減につながるケースが多々あるからです。
医療費控除など、年末調整ではできない控除があるから、というのが一番わかりやすいですが、それ以外でも例えば先ほどの、給与の副収入が18万円というケース。給与からは通常源泉所得税が天引きされていますので、合算して所得税を再計算した結果、副収入の所得税は引かれすぎだから還付される、というケースがあります。この場合は、まず計算してみて、税金が還ってきそうなら申告する、税金が追加になりそうなら申告をやめるのが正解です。
最後に、最近よくある注意点が、ふるさと納税のワンストップ特例です。これは5か所までのふるさと納税につき確定申告不要で住民税の控除をしてくれるのですが、医療費控除などのふるさと納税に関係ない確定申告をした場合でもワンストップ特例が無効になります。確定申告時にふるさと納税の寄付金控除も忘れず申告に加えてください。
業績を立て直すための優先順位とは?
2015/08/24 15:22:23 決算書
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業種にかかわらず、事業の利益はざっくり言いますと以下の計算式で算出されます。
利益 = 売上高 ☓ 粗利率 - 経費
ということは、利益をより上げるためには、(1)売上高を上げる、(2)粗利率を上げる、(3)経費を減らす、のいずれか又はその複数が必要になってきます。
ここまでは当たり前の話なのですが、では業績を立て直す場面においては、(1)(2)(3)のうちどれを最優先にすべきかお分かりになりますか?
答えは、(3)経費を減らす、です。
確かに、売上高が上がることが利益の源泉となるわけですし、全社で団結して目標売上高に向かってまい進することでモチベーションも上がってくることとは思います。
しかしながら、法人や事業にとって最も大切なことは「継続すること」です。事業が継続しなければ社長さんの生活は成り立ちませんし、従業員も路頭に迷わせることになるかもしれません。また、取引先や銀行にも迷惑がかかるでしょう。
そうなると、事業の継続にもっとも必要なのは、いわずもがなですが「キャッシュ(現預金)」です。極論ですが、キャッシュがある限りは売上が下がろうと、赤字が続こうとも、事業は継続できます。逆に、黒字でもキャッシュが底をつけば倒産します。
売上が実際に入金に結びつくためには、営業活動、マーケティング、契約、製造、納品、請求などのプロセスが必要なため、それだけ時間を要します。また、そのためのキャッシュも必要です。業績が好調で資金にも余裕がある段階ではかまいませんが、事業を立て直すという段階では即効性がないため、逆に苦しい期間が増えます。その点、たとえば月3万円の支払家賃を削減することができれば、翌月から即3万円のキャッシュを得ることができます。
たとえ3万円でもあなどってはいけません。月3万円の利益を獲得するためには、その事業の粗利率が30%だとすると、月3万円×12か月÷30%=120万円の売上高が毎年必要です。月3万円の経費削減と、毎年120万円の売上確保・・・、どちらが手を付けやすいでしょうか?
事業継続のためには、売上第一ではなく、利益第一主義にこだわっていただきたいです。
電子申告の今
2015/03/01 14:32:59 決算書
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確定申告真っ最中の時期ですが、税務署は数年前から電子申告の普及に力を入れており、利便性や安全性も年々向上しているため、今ではずいぶん便利になりました。
自分で確定申告をする場合、今ではすべて手書きで作成する方よりも、国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーで作成したものを印刷し、必要書類をつけて郵送する、という方が増えてきています。返信用封筒を同封すれば、受付印のついた控え書類を返送してくれます。
電子申告はもう少し進んで、源泉徴収票などの書類も添付書類データとして作成すれば提出不要で(保存は必要)、印鑑を押さなくても本人もしくは税理士の電子署名を添付すればペーパーレスで申告が完了してしまいます(一部、原本提出が必須なものもあり)。
ただ税理士に依頼しない場合は、自分で住基カードを取得してバーコードリーダーを買ってくるなど最初に環境を整えるのが手間なため、ややハードルがありました。しかし日経新聞によりますと、2017年からはスマートフォンのSIMカードを利用して、本人認証ができるようになるようです。さらにマイナンバー制度が始まると、医療費情報が共有化されて、医療費の領収書の添付すらなくなるとも言われています。
予算書、作成してますか?
「試算表や決算書ていうのは、結局過去の数字でしょ?」
「決算書は、税務署や銀行のために作ってるんだから」
と思われている方、いらっしゃいませんか?
確かに決算書自体は過去の数字ですし、それ自身が将来の収益を生み出すものではありません。
では、決算書を経営に活かすことはできないのでしょうか?
答えは、決算書をもとに今期の予算書を作成することです!
予算書というと手間な感じを受けるかもしれませんが、要は経営者の頭の中にある今期の経営の計画を金額に落とし込む作業です。
「今期は○○の商品を売り込むために広告宣伝費を多めに割こう」
[今期は△△の事業に進出するために、人員を増やすつもりだ」
などの計画があった場合、当然ながら具体的にいくら経費を使うのか、という問題が出てきます。
そこで、前期の決算書をもとに、今期の各費用項目について予算金額の割り当てを行います。
前期と変動ないであろう部分は前期の実績値を引っ張り、変動があろう部分は、例えば「給与手当は前期比+350万円」などと設定していきます。
そうすると、今期の販管費合計額、そしてそこから損益分岐点となる粗利益と売上高が逆算できます(銀行借入金の返済原資などは、別に考慮していく必要がありますが)。
ポイントは、必ず費用項目から設定していくことです。目標売上高をベースにしてしまうと、費用予算が大きくなりがちで、「この金額までなら使ってもいい」と、経費削減の抑止力が働きにくくなります。
算出した予算書の売上高は「最低売上高」なので、目標売上高とは差異があるかもしれませんが、予算書は保守的な数値であることが絶対条件です。
頭の中の目標売上高は、あくまで皮算用ととらえておきましょう。ただし、経営計画を2~3パターン作っておくということ自体は、むしろ大切なことです。
「どうせ予算どおりにはいかないから意味がない」と思われてはいけません!
予算額と実績額に差異が出てくるのは当たり前なのです。その差異の原因を逐次分析して微調整、時には軌道修正していく事が大事なのです。
「売上高がいくらに達したら、○○の案件については今期前倒しで経費をいくらかけよう」などと、具体的な金額をもって前向きな経営ができるようにもなります。
さあ、今期からは経営に予算書をフル活用していきましょう!