相続税対策を認めなかった衝撃の最高裁判決
2022/08/01 12:38:45 相続
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令和4年4月19日、相続税対策に関わる方・業界にとって衝撃の最高裁判決が下されました。法令に沿って適切に相続税申告をしたにも関わらず、その申告を認めず2億4,050万円の相続税の追徴課税を言い渡した事例です。
前提内容をざっと説明しますと、北海道在住の個人には約12億円の預貯金がありました。相続税対策のために東京都杉並区と神奈川県川崎市のタワマン2部屋を、10億円強の銀行借入をして、13億8,700万円で取得しました。
その約3年後に相続が発生しました。この2部屋のタワマンの相続税評価額は、国税庁の「財産評価基本通達」の通りに評価すると約3億3,300万円でした(取得額の約4分の1!)。これに残っていた預貯金を加えても、債務の10億円強を引き算すると基礎控除以下になるということで、相続税を0円と算出しました。
なぜタワマンの評価額がそんなに下がるかと言いますと、建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同額となっており、固定資産税評価額は基本的に建物そのものの価値で算出されるため、都内一等地で人気の最上階である等の「販売価格」が高騰する要素に対してはあまり反映されないためです。
この算出方法自体は全くの合法です。にもかかわらず課税当局はこの申告を認めず、最高裁もこれを支持しました。税法には「同族会社の行為計算の否認」という規定があり、「合法であっても結果的に不当に納税額を減少させた場合は、最後にひっくり返しちゃいますよ」というトランプでいうジョーカーのような最終兵器が準備されています。そんなアホな!あんたらのルール通り計算したのに否認されるって、ここは社会主義国家かよ!ってことになります。
否認された理由を見てみましょう。被相続人には不動産購入前には約12億円の預貯金がありました。これが「たった2回の不動産取得をしただけで数億円の相続税が0円になることが、銀行借入をしない・できない納税者との公平さを欠く」ため、「財産評価基本通達」ではなく不動産鑑定評価で再計算しろとのことでした。どう思われますか?私は、節税対策をした人としなかった人との税額が変わるのは当たり前だろう!と思いますが・・。
さらに、不動産を購入した時の被相続人が90歳すぎであり節税以外の目的でこのような高額な不動産を購入した理由が見当たらないこと、相続人が相続後9か月で不動産を売却したこと、さらにはこの不動産購入を提案した三菱UFJ信託銀行への反面調査により「事業経営財務診断」という名前の提案書に「相続税の節税目的」とはっきり書かれていたこと(金融機関は後々のトラブルを避けるために、顧客とのやり取りの内容を稟議書等で残していることが多く、税務署もその稟議書等を抑えようとすることが多い)等が決め手になったようです。
対策としては、節税目的のみでの行為は(特に節税額が高額な場合)このように最終兵器で否認されるリスクがあることから、「節税以外の目的での行為により、結果的に税額は減少したが、あくまで結果論にすぎない」というシナリオを描けるようなスキームにする必要があると思います。
暦年贈与が廃止!?
2021/09/01 13:46:02 相続
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年間110万円までの贈与は非課税になる暦年贈与ですが、この非課税枠が廃止されるのではないかという声が最近大きくなっております。発端は令和3年度の税制改正大綱で「贈与税と相続税をもっと公平に課税していく」と暗に匂わせてきたことにあります。つまり、生前に贈与しておいたら無税なんて不公平じゃないか、ということです。
現行でも、相続が開始した場合には「相続人に対する3年前までの贈与財産」は相続財産に含め直して相続税を計算することとなっています。ただもちろん3年超前の贈与財産や、相続人以外(例えば、孫など)への贈与は相続財産に含め直しません。
実際に、数年以内に改正になる可能性はかなりあると思います。110万円の非課税枠が0円になるというよりは、上記の含め直しする期間を10年に変更する、もしくは何十年でも期限なく含め直す(アメリカ式)方法が考えられます。個人的には、民法上の特別受益とも合致するので、10年が有力ではないかと思っています。
ビル・ゲイツ氏離婚の相続税対策疑惑
2021/05/31 19:11:44 相続
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マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が離婚を発表しました。おしどり夫婦と呼ばれていたのに突然の発表、という印象が強いらしく、巷では「相続税対策(のための偽装離婚)では」という噂が立っています。個人資産が14兆円くらいあるそうで、相続が発生したら7兆円くらい相続税(アメリカにも日本の相続税と同様のものアリ)がかかると言われています。ところが、離婚に伴い財産分与が発生し、例えば半分の7兆円が奥様側に渡っても原則は非課税となるため、結果的に莫大な額の税額軽減がされる可能性があるのです。
日本でも同様の考えで、財産分与は婚姻期間中に2人で築いた財産をきちんと分けるためのものなので、贈与とは意味合いが違うため、離婚時の財産分与に伴う贈与税は原則課税されない、とはっきり決められています。
これを読んで偽装離婚が頭によぎった資産家の方がおられるかもしれませんが、「原則」ということなので、分与された財産が過大である場合や、税金逃れを目的とした偽装離婚と認められる場合は贈与税を課する、ともはっきり決められていますのでご注意ください(^_^;)
うまく使いたい、自筆証書遺言書保管制度
2020/08/03 16:26:09 相続
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遺言書には大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」と公証人が作成し公証人役場で保管される「公正証書遺言」の2種類があります。「自筆証書遺言」は自分でいつでも作成できるので一見お手軽そうですが、有効になるように所定の内容を記載しておく必要がありますし、また遺言者の死亡後に家庭裁判所で「検認」請求をしなければいけません(その前に開封しても無効にはなりませんが、偽造等されていないことを客観的に証明できなくなります)。どこに保管しているかわからなくなる、という可能性もあります。
このような欠点を補うため、令和2年7月10日より「自筆証書遺言書保管制度」がスタートしました。法務局で事前に遺言書の内容が有効かを確認してもらえて、保管してくれるようになります。画像データでの保存もされるため検索が容易になり、また家庭裁判所の検認も不要になります。事前に予約し、遺言書、住民票、身分証明書、手数料(3,900円)などを持参すればOKです。
ただし法務局では有効性の確認と保管はしてくれますが、書き方を教えてくれたり相談に乗ってくれるわけではありません。「ご相談には一切応じられません」ときっちり注意書きされていますので、内容自体の専門的なチェックが必要であれば、司法書士や行政書士に依頼することになります。
まだ使えます。タワーマンションの相続税対策
2016/09/30 17:50:59 相続
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今、広島駅周辺は急激に再開発が進んでいます。広島駅南口Bブロックに建設されるシティタワー広島は、広島駅直結で、中四国・九州地区で最高層の52階建てだそうです。
今、首都圏等でもタワーマンションはとても人気があります。マンションでも値が下がりにくく、転売や賃貸も考えた投資物件として外国人からの引き合いも多いそうです。そして大都市圏ではタワーマンションは相続税対策として取得されることも多いです。
タワーマンションは上の階に行くほど人気があり、一物件が億を超えることもめずらしくないのですが、こと相続税評価となりますと、タワーマンション全体の評価を面積比率で按分することになります。2階と最上階でも、面積が同じなら評価も同じになります。ですので、1億円で取得したマンションも相続税評価額は5,000万円、というケースも出てきますので、その差額分相続税対象額を減らすことができるのです。
ただこの相続税対策、税務当局から否認されたケースもあります。その事例では相続税評価額を2億円以上下げて申告したのですが、相続開始直前にマンションを取得しており、また被相続人がマンションを訪れた形跡がなかったので、被相続人に本当に取得する意志があったのか定かでなかったことと、相続が開始して1年程度で売却されたため、明らかに相続税を減らす目的のみであったとされ、正当な相続税計算と認められませんでした。他の否認された事例を見ても、すぐに売却するのは税金逃れ行為とみられるようです。
このようなことがなければ、購入側としては、適正にマンションを購入し、正当な計算に従って評価しただけなので、何の問題もありません。タワーマンションは人気のため抽選となることも多いようですが、一物件いかがですか!?
※平成28年11月追記・・平成30年以降に建築されるタワーマンションについて、評価方法を改正する方向で検討がされています。