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相続に関わる者の気持ち

2014/03/01  相続
平成27年1月以降の相続について、相続税の基礎控除が4割減額されます。これは要するに、相続税がかからなかったものからも相続税を課し、もともと相続税がかかっていたものにはさらに多くの相続税を課す、という「大増税」です。ケースによっては何百万円も税額が増えるため、「大」をつけても大げさではないでしょう。

また、詳しい説明は避けますが、今は「相続した不動産を売って税金を払う」「不動産そのもので税金を払う(物納といいます)」も難しくなっています。

それもあってか、書店では相続に関する本はとてもたくさんならんでいます。「エンディングノート」だけでも書棚の一列を占めていたり。「エンディングビジネス」という言葉も生まれたりしています。

相続対策の内容も、多岐に及びます。よく勘違いされるのは、相続対策とは相続税を抑えるための手法だと思われていることです。たしかにそれも相続対策の一部ではあるのですが、相続には以下の3つの要素があるのです。
 
(1)相続財産を把握、確定しておくこと
 →どういった財産があるかを明確にておくことや、広義には不動産の境界線などを
  明確にしておく、などの行為を含みます
(2)財産をどう分けるかを考えておくこと
 →遺言書の作成や遺産分割協議、また納税資金などの換金性のバランスや事業承継との
  からみなども考えておく必要があります
(3)相続税をいかに抑えるか

実際の相続においては、上記の(3)を多少犠牲にしても、(2)が優先されることが多いのです。相続人の全員が納得する相続、というのと税金の絶対額が少なくなる、というのはイコールにならないのです。また相続税対策をするにも、子からは親に「相続税の対策をせよ」とは言いにくく、そもそも子は親の財産を把握していないケースが多いのです。親としても、自分の老後資金の不安や、「子どもに早くから財産を与えて甘やかせるのはいかがなものか」という親心から、なかなか生前に積極的な財産分配をするには至らないのです。

ただ、私も平成23年に父親を亡くし、途方にくれている母親の手を引っ張って預金通帳の解約手続きのために銀行廻りした時の何とも言えない気持ちが忘れられません。かけがえのないご家族を失った上に、経験のない相続手続きに奔走しないといけない相続人の方々の負担を少しでも和らげることこそが、税理士の社会的使命なのだと考えています。

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