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広島カープから経営戦略を学ぶ

2017/08/02 18:14:36  経営
 今年もカープは独走態勢に入っております。昨年よりも選手層が厚くなっており、よほどのことがない限り今年もリーグ優勝しそうですよね! ・・そんなカープですが、経営面から見ると40年以上も黒字経営を継続している優良企業です。40年ですから、前回の日本一の時から、そしてその後の低迷期(市民球場がガラガラだった時期(^^;))でも黒字は維持し続けていたわけです。株式会社広島東洋カープは上場企業ではありませんので、あくまでも詳細な決算内容が開示されているわけではありませんが、最近はカープ関連本もたくさん出ていますので、私見を大いに含めて、その秘密を見ていきたいと思います。

 株式会社広島東洋カープの株主構成は、マツダ創業者の松田家が40%強、マツダが30%強で、マツダは拒否権を発動できる3分の1以上は所有していないようです。よって、赤字を補填するといった部分までの関与もしていないため、株式会社広島東洋カープは単独で採算を合わせていかないといけない、という大前提があります。そのため黒字継続もそうですが、銀行借入金も比較的少なく、自己資本比率(総資産のうち、借入以外でまかなっている割合)も約60%と財務状況も健全です。

 売上面から言いますと、やはり2009年にオープンしたマツダスタジアムの存在が大きく、建設当時はたしか「新球場なんか造って大丈夫?(資金まかなえるの?)」という声も少しあったように記憶していますが、こんな「観客を楽しませる」アイデアが豊富な球場だとは!思いませんでした。収容人員自体は旧広島市民球場より約1,000人増えた33,000人程度なのですが、目先のキャパ(収容力)を広げることよりも、野球観戦をゆったりと楽しめる環境整備を優先し、またマーケティング的には、家族におけるキーパーソンである「女性客」(特にお母さん)をメインターゲットにしたことで、長期的な目線でリピーター顧客(=ファン)を定着させ、高い観客動員数を維持することに成功しています。売上高では2009年に初めて100億円を突破し、2015年には148億円ですから、なかなかの伸びです。広島市の人口が120万人程度で観客動員数が年間200万人以上ですから、広島市に住む全ての人が毎年2回マツダスタジアムに行っている計算(もちろん広島市以外からもたくさんの人が来ていますが)ですから、驚異の「回転率」だと思います。戦後の復興の象徴である地元密着型球団、という個性もかつては「地方の貧乏球団」という位置づけでしたが、今は強烈な個性(=アイデンティティ)としてプラスに働いている感があります。

 また、売上増加はグッズ収入の伸びも大きく貢献しており、新球場オープン前である2008年の10億円弱に対して2015年は35億円となっています。これもすごい伸びです。かなり独特で、センスのいいグッズで種類も豊富(三井物産と提携しているそうです)です。個人的には、「野球グッズ」ではなく「カープというコンテンツの関連商品」という目線で作られているところに経営センスを感じます。また、サヨナラ勝ちの数日後には記念Tシャツが販売されるなど、「フットワーク」と「企画力」もすごいです。

※今度気が向けば、売上以外のことも書かせていただきます。


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